相模原演劇鑑賞会の会長を務める 馬渡(まわたり)憲三郎(けんざぶろう)さん 麻溝台在住 75歳
「文化の成熟」に思い馳せ
○…年5回ほど行われる定例観劇会の前後に、自身が講師となり「演劇と文学の関わり」について解説する公演関連イベントを開いている。「芝居の原作について考えるという感じ。同じ題材でも言語芸術と芝居とでは、スポットの当て方も違う。皆で考えて、観て、語り合うこと。それが文化になっていくのだと思う」と意義を語る。
〇…政令指定都市となった相模原市。様ざまな面で他自治体の指標となっていかなくてはならない。だが、文化においては「未成熟」と憂える。文化会館など芸術を享受する環境はあるが、市民が参加し、発信していく土壌がない。そういった意味では、演者の選定から会場設営まで皆で手がける演劇鑑賞会の活動は「文化の手作り」であると自負する。「ジムで運動もいいけど、心の健康も考えないと。精神は自分で努力をしないと鍛えられないものだから」
〇…佐賀県生まれ。小学1年生の8月15日、玉音放送を聞いた。その日を境に、日本の教育は変わった。今まで使っていた教科書は「黒塗り」になった。違和感を覚えた。「納得がいかなかった。何が本当で何を信じられるのか。自分で考えるしかない」。物事を額面通りに受け取ることへの抵抗を、少年ながらにも感じた。
○…多忙な「年金受給者」だ。日本の近現代文学を専門に執筆活動に勤しむ文士であり、現代詩を書くサークルの講師でもある。また書道関係誌で文学者の筆跡を鑑賞し、活字には表れない筆者の心境や思考を読み取り論述。さらに日本ペンクラブ会員の顔も持つ。息抜きは散歩。毎日7、8千歩は歩く。近所の公園で井戸端会議にも興じる。「高齢者は会話を求めている。老人の居場所がない」と、身の回りの事象に必ず自身の意見を述べ、社会の歪みを指摘する。「本当のことを言って死んでいきたい」。何事も自分のことのように考え、正しいと思ったことをする。それが信念だ。
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