東京電力福島第一原発事故から3年7カ月が経った。放射線による健康被害を懸念し、市民からのカンパで機材を準備し専門医の協力のもと、関東各地で検診を実施している「関東子ども健康調査支援基金」主催の「甲状腺エコー検診」が9月14日、南区相模大野のさがみ生協病院で行われた。
当日の検診は主に現在5歳以上で、原発事故当時に18歳以下だった人を対象に行われ、市内在住者を中心に89人が受診。院内では地元有志による放射線測定器の勉強会なども行われた。
今回の検診に協力した同院の牛山元美(うしやまもとみ)医師は、子どもたちを放射線による被ばくから守るための啓発活動を続けている。昨年3月にはベラルーシ共和国を訪問。1986年の原発事故から30年近く経ったチェルノブイリの状況を視察した。
放射性ヨウ素との関係
ベラルーシでは、事故当時乳幼児だった人が、成長過程のどの年代でも甲状腺ガンを高い確率で発症していることを例に、牛山さんは「放射性ヨウ素の被ばくと子どもの甲状腺ガンは因果関係がある」と指摘。さらに日本原子力研究開発機構が今年、米国の学会で発表した資料を図示し、11年4月1日時点の放射性ヨウ素の汚染が県内にも分布していたことを説明した。
「市内の子どもたちが甲状腺ガンになる可能性もある。その不安を払しょくするには、エコー検診をするしかない」と牛山さんは、検診の目的を話す。そして、「今の日本で被ばくを心配するのは当たり前。専門家に聞いてもらったり、質問ができたりということが安心につながる」と続ける。
10月26日(日)に東林間公民館で、福島の原発事故以降の子どもたちを追ったドキュメンタリー映画「A2─B─C」が有志主催で上映される。それに伴い午後6時50分から牛山さんが、福島の現状や甲状腺検診についての講演を行う。当日参加可。詳細は東林間測定室【電話】042・747・2858へ。