北里大学海洋生命科学部(南区北里)はこのほど、緑色LED(発光ダイオード)の光をマコガレイの稚魚に照射すると、通常の飼育と比べて成長が早くなることを実証し、発表した。県水産技術センターとスタンレー電気(株)が同大と共同で研究を進めており、マコガレイで実証したのは今回初となる。
これは、同大の「魚類分子内分泌学研究室」(高橋明義教授/水澤寛太准教授)が主となり進めている研究で、LED光によって魚の成長促進効果を実証するというもの。同研究室では2009年頃から試験を重ね、緑色のLED光を照射するとヒラメやホシガレイで通常より成長が促進されることがこれまでに確認されていた。この結果を受け今回、県水産技術センター、スタンレー電気の協力を得て、マコガレイに適用した。
全長27㎜のマコガレイの稚魚3万尾のうち、約半数に緑色LED光を4週間照射したところ、自然光(非LED照射)下で飼育した場合と比較して、体長は1・2倍、体重は1・4倍成長が早まった=写真。
「東京五輪に江戸前を!」
東京湾で漁獲される主要漁種のひとつである「マコガレイ」。煮つけなどで食卓にも登場する馴染みある魚だが、近年資源が減少し漁獲量は低迷していたという。そこで県では漁業者などが稚魚を放流し”つくり育てる漁業”を推進してきた。その中で今回、同大との共同研究に至った。「神奈川から発信した技術が東京湾のマコガレイ生産に貢献し、マコガレイが江戸前寿司のネタとして注目され、東京オリンピックの盛り上げに寄与できることを期待している」と高橋教授はその狙いを話す。
さらに今回の成果は、マコガレイの事象に留まらない。流通にのらない日本近海の魚を栽培して「生産量をあげる」こと。また、漁獲量の低迷しているマグロやウナギなど重点漁業の「成長率を高める」こと。こういった養殖水産業が抱える課題に対しても「LEDの光が有効となることが実証されていく可能性がある」と水澤准教授。一方で「しかしまだ、緑色LED光が成長促進を促す仕組みは分かっていないことが多いのも確か。科学的な裏付けの解明へ向け、関係機関と協力して引き続き研究を進めていきたい」と今後の抱負を語った。
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