神奈川県代表として出場した岩手国体のアーチェリー成年男子団体で優勝した 田畑 隼剛(しゅんごう)さん 松が枝町在住 29歳
逆境で掴んだ折れない心
○…「矢を放つ時にイメージするのは、的の中心を射抜く姿」。揺るぎない自信を、笑顔の奥に見せた。自身12回目の出場となった10月の岩手国体、神奈川県代表として成年男子団体の部で優勝。精神的支柱として若い選手を引っ張りながら、一方では自身の再起をかけて臨んだ大会で、見事に結果を出した。
○…中学時代までは野球に明け暮れるも、進学した東海大相模高校では体格の問題で入部を断念。そこで頭に浮かんだのが、小学校時代に経験していた洋弓部だった。「男女で練習する環境が新鮮で嬉しくて」練習に没頭。すると次第に頭角を現し、高校2年時で初の国体出場。東海大学4年時には日本記録を更新。同大学院では指導者の道を見据えスポーツ科学を学んだ。修了時には実業団への道も開けていたが、「働きながらでも競技を続けていける、という姿を後進に示したい」との思いから、東海大学職員の道を選んだ。
○…「日々を全力で生き、自分にも他人にも厳しく」がモットー。2013年から監督を務める東海大学洋弓部では鬼監督として部員を指導しながら、朝晩の二部練習は一日たりとも欠かさない。まさにストイックを絵に描いたような選手だが、わずかなオフの時間には映画鑑賞や銭湯で頭をリセット。仲間との飲み会では羽目を外す一面も。
○…全力を出し切った昨年の日本代表選考会で落選。リオ五輪への道が閉ざされ、一時は引退も考えた。様々な葛藤に苦しむ中、再び心に火を灯したのは、国体で一昨年からチームを組んできた後輩2人の存在。「2人は今でも田畑君の背中を見ている」というアーチェリー協会理事の言葉にも背中を押され、もう一度前を向く決断をした。競技人生最大の挫折を乗り越えた視線の先には、東京五輪がある。「一生に一度しかない母国開催。日の丸を背負い、今までサポートしてくれた全ての方に雄姿を見せたい」と意気込む。
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