さがみはら南区版 掲載号:2017年7月27日号
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「混乱」の中で歩んだ1年 やまゆり園 入倉かおる園長

社会

取材に応じる入倉園長
取材に応じる入倉園長
 津久井やまゆり園での事件後、県は施設の建替えを大枠で決定し、施設の具体的な在り方を議論する専門部会は11回の議論を経て8月2日に最終報告書を提出する。施設面の議論が深まる中、事件後に移転した園で入居者はどのような生活を送り、職員は今何を思うのか、入倉かおる園長に事件後1年とこれからを聞いた。

 事件から約9カ月後の4月、同園は緑区千木良から横浜市港南区のかつて知的障害者施設だった施設へ仮移転。施設名も「津久井やまゆり園芹が谷園舎」となった。現在、仮移転から約3カ月が経過し入倉園長は「入居者も職員も少しずつ落ち着いてきた」と話すが、引っ越した直後、一部の入居者は状況を飲み込めず「私はいつ帰りますか」と不安の声を漏らすなど戸惑いもあった。ただ、同園では今までと同じ職員が支援にあたるよう配慮した結果、体調を崩す人は出さなかった。最近では以前実施していた施設外での散歩を始めるなど「日常」を取り戻しつつある。

情報伝達に苦心

 事件後、園の長として入倉園長が最も神経をすり減らしたのが「情報の伝え方」だった。史上稀にみる凶行は現場に大きな混乱をもたらし、入居者や職員の心を揺るがしていた。

 情報が錯綜する中で、メディアから初めて耳にする情報も多く、職員らは「もっと早く教えてほしい」と声を漏らした。未曽有の事態に対応も遅れ、職員らの不安は増幅していった。入倉園長は問題の解決に向け、園内での情報共有ツールを積極的に活用。把握している情報はできる限り早く伝えることで、職員の不安の軽減に努めた。その姿勢は今も変わらない。

高校生との交流支えに

 「混乱」と「不安」が渦巻く中、職員らを支えたのは全国から送られてくる手紙や千羽鶴だった。中でも、事件前から交流を持つ複数の地元高校生から寄せられた手紙は、何より職員の心を照らした。仮移転後に受け取った手紙には「戻ってきてください。これからも繋がっていきましょう」という言葉も。入倉園長は「事件後も見守り続けてくれることに本当に励まされている」と話す。手紙をやり取りする高校生のうち何人かは、仮移転後の横浜でのイベントにも相模原から足を運ぶなど交流を続けている。

「千木良に帰ろう」

 同園の仮移転は4年間を予定。その後については現在議論が進められているが、職員らが共有する施設運営のテーマは「目の前の入居者に寄り添っていくこと」。同園の原点に立ち返り、一人ひとりと向き合う。その上で、職員が胸に抱くのは「元気にみんなで千木良に帰ろう」という思い。「事件が起きて『はい、別の場所に移ります』とはいかない。千木良の場所で以前のように地元の方と触れ合える暮らしをしたい」と入倉園長は前を向く。

 ただ、「入居者が『戻りたい』と言うかは別」とし、同園は個人の意思を最大限尊重する考え。別の場所で暮らすことを望む場合は個別に対応する。入居者に職員、家族や地域の人々が手を携え、やまゆり園は再生の道のりを歩んでいく。

高校生から寄せられた手紙
高校生から寄せられた手紙

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