品質に問題がなく、まだ食べられるにもかかわらず廃棄されてしまう余った食品を、福祉施設などへ無料で提供する活動や団体は、「フードバンク」と呼ばれている。南区新戸などで農作物を生産している北原強(つよし)さん(65)は、この活動に感化され、自身の作った野菜を経済的に困窮する母子家庭へ届けるなど、応援の輪を広げようと働きかけている。
新戸に住む北原さん。以前は都内の半導体計測機器メーカーに役員として勤めていた。10年ほど前に、「自分で作った安全なものを食べたい」と有機農法での野菜づくりを始め、定年退職後は本格的に農業に従事。現在、新戸や下溝にある延べ約400坪の畑でトマト、ナス、キャベツ、ピーナッツなど年間4、50種類の野菜を育て、市内や横浜市の青果店に卸している。
今年1月。フードバンクを取り上げた報道番組をテレビで観た北原さんは、「環境に恵まれていないと思われる子どもたちを応援したい。自分の野菜が役に立たないか」と市社会福祉協議会(社協)に相談した。それを受けた社協側と北原さんで方法を模索。6月末、社協が運用する生活費の貸付制度利用者のうち、連絡がとれ提供を希望した母子家庭5世帯に、段ボール箱いっぱいに詰めた野菜を届けた。
北原さんは「食料支援を通じて、『応援をしている人がいるよ』『孤独じゃないんだよ』ということを子どもたちが感じてくれたら」と思いを語り、「地域で応援する輪が広げられれば」と続けた。また7月12日には、区内の児童養護施設に入所する子どもたちに北原さんの野菜を振る舞う試みが、相模大野の中国料理店で実施された。社協南区事務所の担当者は、「単発的なものではなく継続していけたら。思いを持った方を地域の中でつないでいくことを目指したい」と話していた。
さがみはら南区版のトップニュース最新6件
|
|
|
|
|
|