大船渡出身のピアニスト。杜のホールでチャリティーコンサートを主催した 桑原 裕子さん 緑区西橋本在住 57歳
「故郷の復興の手助けを」
○…出身地の大船渡市への支援を目的とした「チャリティーコンサート」を先月29日に杜のホールはしもとで開催。多くの来場者からの義援金51万2941円を市を通じて、寄附を行った。「当初は、留学先のフランスから帰った娘のデビューを兼ねたコンサートを3月に企画していましたが、今回の震災で急遽、入場無料のチャリティーコンサートにしました。故郷である大船渡の姉妹都市の相模原市に住んでいるのも何かの縁ですし、想像以上の義援金が集まり、皆様に感謝しています」と話す。
○…震災以後、大船渡の知人と連絡をとり、女性用下着や、作業着など現地の被災者が欲している支援物資を大船渡へ送る活動を続ける。「実家は高台にあり、母は幸い無事でしたが、被害は想像以上で、街自体の機能が停止しています。亡くなった知り合いも多いので、何でもいいから出来ることをしたかったです」と話す。支援物資は、近所の友達やピアノ教室の生徒たちから協力を仰ぎ調達。「想像を超える、多くの人の温かさに本当に驚いています」と感謝の気持を表す。
○…5歳からピアノを始め、音楽系の高校・大学に進学。卒業後も、東京で定期的にコンサートへ参加、学校での演奏ボランティアをはじめ、音楽教室を開くなど幅広い活動を続けている。8年前に平塚から市内へ引越し、現在は旦那さんと娘さんに加え、大船渡で被災した母親との4人暮らし。「橋本は交通の便も良く、子どもも多い活気のある街です。馴染みやすく、すぐに好きになりました」と微笑む。
○…今月4日から8日まで娘さんとともに、大船渡へ慰問。多くの避難所で、ピアノを演奏し、被災生活をねぎらった。「被災された方は、生きるのに精一杯で、まだ文化的なものを楽しむ余裕はないようでしたが、復興には心のケアも大切だと思うので、今後も直接出向き、被災者を励ましたいですね」