危険箇所の改善急ぐ 通学路 市教委が基本方針策定
市教育委員会は昨年12月、「通学路における安全対策の実施に係る基本方針」を策定し、同8月に初実施された緊急合同点検の対象となった市内43小学校97カ所の詳細を公表した。基本方針では、該当箇所の対策を優先させる考えで、2013年度予算要求を行うなど改善に努めていく。
点検対象となった43校97カ所は、学校側が危険箇所として挙げ、市教委、学校、PTAで実施調査を行った68校444カ所のうち、「交通量が多い」、「通過車両の速度が速い」、「横断歩道が設置されていない」などの報告があった、最優先とされる箇所。合同点検は、昨年4月に登下校中の児童の列に車が突っ込む事故が全国で相次いだことを受け、文科省、国交省、警察庁の3省庁が連携し、8月に所管の市教委、学校、警察、道路管理者らで行われた。
通学路の安全対策は過去にも実施されてきたが、全国一斉に関係機関が合同で点検したのは初の試み。これまでは、各学校が市教委へ危険箇所を報告し、あとは対応を見守るという流れだった。
現場に立ち会った田名小の校外委員は「今回はその場でどのような対策が適切かについて、コミュニケーションを取れたことが良かった」と話す。例えば、見通しの悪い道路へ点滅する注意看板を立ててほしいという要望には、ドライバーが点滅に気をとられて、危険が増す恐れがあるなど、出席者は状況に応じた説明を受けたという。危険箇所の相談は、市教委で今後も随時受け付ける。
費用がネック
一方で、危険個所の早期改善には多額の費用がネックとなることも多い。用地買収が必要な道路整備や信号機の設置などがその例だ。市教委では「担当課として予算要求を行うなど、早期改善に努めるが、それに加えて登下校の見守り活動など、学校と地域の方々が協力したソフト面の対応も不可欠」と話した。