青根地区の遊休農地の新規就農者として、無農薬栽培に取り組む 大塚 順さん 青根在住 47歳
馳せる思い胸に有機農業
○…農業従事者の高齢化などにより、遊休農地の増加が問題となっている青根地区。農の再興を目指した地域が復元作業に取り組んできた棚田を利用して、4月から米・野菜作りに挑戦する。「地主さんをはじめ、協力してくれた地域の方々への感謝を胸に取り組んでいきたい」と語る。
〇…農業を始めたのは2011年。就職先の愛知県で仕事の傍ら、簡単な田植えや稲刈りなどを行い、農業の楽しさに魅了された。「自分で作ったものを食べた時、食べてもらえる消費者を感じられた時が農業の醍醐味」。その後、働いていた自動車メーカーを辞め、実家がある神奈川県内に。農業研修後、「有機栽培にこだわりたい」と、県からの紹介で、農薬に頼らず作物を育てる環境に囲まれた青根地区の棚田での就農を希望した。無農薬栽培へのこだわりのルーツは、小学生の頃、少しだけ住んだ函館で触れた自然。「魚や虫がたくさんいた風景を今でも覚えている。大好きな生き物たちのためにも農薬は使いたくない」。自然を愛する心で美味しい米・野菜作りを目指す。
〇…やんちゃな子どもで怒られることも多かったと振り返る。スポーツが好きで、サッカー、野球、テニスなど、熱中した球技は多く、負けず嫌いな性格から人に教わるよりも自分でとことん練習するタイプ。社会人になってから始めたゴルフは仕事終わりに夜遅くまで練習するほど。農業とは別に、介護士として、近くの老人ホーム「青根苑」で週1回働く。「最低限の収入を確保するとともに、高齢者と触れ合うことで元気ももらっている」と笑う。
○…自分1人で、一から就農に挑むことには不安もある。モチベーションとなっているのは愛知県に住む小学生の一人娘。「農業で成功した姿を娘に見せたい」。農業のみで生計を立てることを目標に今年一年は赤字覚悟。固い決意と、地域からの期待を背負い、農業に挑んでいく。