郷土資料館「吉野宿ふじや」をどのように活用して、地域振興につなげていくかを話し合う集いが1月16日、藤野中央公民館で開催された。集いには地元自治会、観光協会、各会議の代表者らが参加し、「小原宿本陣と協力して、セットでPRして地域振興につなげられないか」など前向きな意見交換がされていた。
吉野宿は、江戸時代に賑わった甲州街道10番目の宿場。その大半は、1896年(明治29年)の大火で焼失したが、旅籠屋の一つ「藤屋」が再建され、当時の宿場の雰囲気を伝える唯一の建物となっている。1991年に、家主から旧藤野町に寄贈され、以後は、地域の嵯峨遺跡や大日野原遺跡から出土された土器や石器類、主な産業であった養蚕や炭焼き関連品、吉野宿の面影を再現したジオラマなどが展示される郷土資料館として、地域住民に親しまれている。
そうした中、藤野の自然や里山文化を大切にした地域活性化に取り組む市民団体「NPO法人ふじの里山くらぶ」は、相模原市立博物館と協働して、2013年度から3カ年計画で吉野宿ふじやを活用した地域活性化事業を推進。これまで「藤野の懐かしい写真展」「戦時中の体験記展」「お蚕の飼育」「藤野のおひなさま展」「桂川と相模川展」など数々の企画展や「甲州道中を行く」「甲州道中と俳句展」といったふじやを拠点とした歴史散策事業等を実施してきた。今回の集いは、こうした3年間の協働事業の総括と今後の吉野宿ふじやの活用を話し合うために実施されたものだ。
今後の方向性には幅広い利用案を協議
集いには約70人が参加。ふじの里山くらぶ理事の野口正明氏がコーディネーターを務め、吉野自治会の大塚章氏、小原地区活性化会議の永井広紀氏、藤野観光協会の佐藤鉄郎氏など地域の各方面の代表者が参加してパネルディスカッション形式で討論を開催。「藤野の歴史を学び、その良さを知る場所としてふじやは貴重な存在」「少子高齢化が進むが、相互の協力を大切にして、吉野宿で気軽な集会を開いて欲しい」「ふじやだけでは線が細いので、同じ甲州街道沿いの小原宿と連携して、地域活性化を考えていきたい」などの意見が出されていた。
ふじの里山くらぶは「博物館との3年間の協働事業で、吉野宿ふじやを重要に思っている市の力強さを再認識するとともに、新たな発見も多くありました。今後は、この経験を生かして地域の皆様と共に財産である施設を有効活用して、地域活性化につなげていきたい」と話していた。
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