神奈川県は2015年度のスギとヒノキの雄花の着花量の調査結果を発表した。それによると、スギ、ヒノキ双方とも今年春の花粉の飛散量は、少なかった昨年春と比べて増加、例年よりも多くなると予想されている。調査を行った自然環境保全センター(厚木市)は「今年は例年より多い花粉が予想されますので早めの対策をお薦めします」と話している。
自然環境保全センターは、県の依頼を受けて1997年以来、毎年11月から12月にかけ、県内のスギ林で花粉を飛散させる雄花の着花量調査を実施している。今年は県内30カ所のスギ林で、各々40本のスギを抽出し、双眼鏡や望遠鏡を用いて、1本ごとに着花状況を判定。着花点数の合計値を本数で除した平均値を調査箇所ごとの着花点数としている。
今回の調査結果では、着花点数の平均値は50・6点。この数字はやや少なかった昨年度の37点を大幅に上回り、過去18年間の平均値である42・9点も上回った結果となった。同センターでは「例年、前年花粉の飛散が少なかった次の年は多く花粉が飛ぶ傾向にあり、加えて昨年夏の影響も考慮しますと、今年の春は例年より多くの花粉の飛散が予想されます。寒波が過ぎると一斉に飛散しますので、早めの対策をお薦めします」と注意を呼びかける。
スギに加えてヒノキ花粉の飛散予測も実施
近年ではスギに加え、花粉症の原因植物であるヒノキの花粉が増えている。ヒノキは、植栽された時期が比較的新しく、近年雄花を着ける樹齢に達する樹木が増えているからだ。
同センターでは、こうした状況を踏まえ、2012年度からヒノキの雄花量の調査を実施。調査から4年、今年度初めて調査結果を公表し、全国で初めてヒノキの雄花量による花粉飛散予測を行った。調査はスギ同様、県内40カ所のヒノキ林で実施した。
それによると今年度、着花点数の平均値は52・5点。スギ同様に少なかった昨年度の34・7点を大幅に上回り、4年間平均値である46・3点も上回っている。また、40カ所の内、津久井地区8カ所が72点と県内平均値より高い結果となった。同センターでは「まだ、ヒノキの調査期間が少ないので、はっきりとしたことはわかりませんが、都の調査では奥多摩地域がヒノキの着花が多いと聞いています。多摩から津久井につながる山林が影響しているのかもしれません」と分析する。
無花粉品種の開発も進行中
同センターでは、花粉発生源対策として、「花粉の少ないスギ・ヒノキの品種」の選抜と実用化を行っている。現在、県内で生産されているスギ・ヒノキの苗木は全て「花粉の少ないスギ・ヒノキ」となっているという。さらに、3年前に全国で初めて無花粉ヒノキを発見し、現在は全く花粉を飛散させない無花粉のスギ・ヒノキ双方の開発も併せて行っている。同センターは「無花粉のスギは今年春には、3000本程度の苗木が出荷できる見込みです」と話した。
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