政府機関の地方移転の検討をめぐり、対象となっていた宇宙航空研究開発機構(JAXA)相模原キャンパスが一部移転にとどまることが22日のまち・ひと・しごと創生本部の発表でわかった。これを受け、移転反対運動を進めてきた淵野辺駅の商店街メンバーや大野北地区の住民らは喜びに包まれた。市民はもとより、市内外から移転反対の署名が集まり、その数は3万を超えた今回の運動。市民の熱意、署名の力が移転阻止を強力に後押しした。
創生本部が発表した基本方針によると、JAXAは岐阜県と山口県への一部移転で連携。岐阜県では、各務原市が航空宇宙博物館などを活用して取り組む宇宙教育活動・宇宙教育プログラムへ、相模原キャンパスが持つロケットエンジンなどの展示物の提供や講師派遣を通じて連携、山口県では、JAXAの衛星技術を防災に活用するための研究のほか、人材育成について拡充を検討していく。両県とも、早期に連携協定を結ぶ考えを示している。
JAXA移転への反対運動については、「銀河をかけるまち」をテーマにまちづくりを推進してきた淵野辺駅北口の商店街メンバー、大野北まちづくり会議らが主導で市内での事業継続を求め署名活動を展開。これまで宇宙をまちづくりのテーマの一つに掲げてきた相模原市にとっても移転がシティセールスに影響を与えかねないとして、市議会、商工会議所、市自治会連合会、市小中学校PTA連絡協議会らも活動に加わるなど、市内の主要団体が結集して反対を唱えていた。
昨年12月には、淵野辺小学校の児童も活動に参加することになり、4回にわたって駅利用者に街頭で署名を呼びかけた。約2カ月にわたる、こうした活動は全国に波及。市内外から署名が寄せられるなどその影響力は大きく、結果として署名は3万にも及んだ。集まった署名用紙は2月に創生本部に提出されていた。
今回の結果を受けて、商店街や淵野辺の地域ではお祝いムードに包まれている。署名活動有志の会として活動を推進してきた茅明夫さんは「署名していただいた方もJAXAへの思いを強くしたと思うし、皆さんの署名が移転阻止につながった。淵野辺小の児童にも手伝ってもらい、感謝しています」としみじみと話した。大野北地区ではさらにJAXAとの連携を深め、様々な事業に取り組む方針だ。
阿部善博市議会議長は「要望活動もずっと行ってきたのでこの方向性は望ましい。今後も存続していくことを期待している」としながら、「市民の声を受け、市としてはJAXAの存在意義を再認識した部分もあると思う」と今回の移転問題について見解を示した。
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