地元出身の政治家・尾崎行雄(以下咢堂)が、米国ワシントンに贈った桜を枝わけして育てられた80本が今年に入り、市内各地の小中学校や高校、自治会などに配布され、植樹されている。事業を行う『尾崎行雄を全国に発信する会』(天野望会長)は、「桜を見ることで咢堂が目指した平和を愛する心が、多くの方に届けば」と話す。
緑区又野生まれで「憲政の神様」と称される咢堂。明治から昭和にかけて活躍した郷土を代表する偉人として、その功績を広めようと「尾崎行雄を全国に発信する会」は、青年演説大会(演説の甲子園)、学習発表会や展示会の開催など幅広い活動を行っている。
咢堂は、東京市長を務めた1912年当時、日米友好の証としてワシントンポトマック河畔に、3000本の桜の苗木を寄贈した。81年、東京都足立区が区制50周年を記念し、この桜から穂木を採取。一部を冷凍保存、残りは接ぎ木して”里帰り桜”として育成し、足立区内に植樹していた。
その後92年に、尾崎行雄を全国に発信する会は、この話を聞きつけ、足立区が冷凍保存していた穂木から接ぎ木、育成した桜の苗木4種(染井吉野、普賢象、関山、御衣黄)32本を同区から受領し、”咢堂桜”と名付け、市内の学校、公共施設、関係地などに植樹している。
そうした中、同会は「この咢堂桜を市民にもっと知ってもらい、シティーセールスにつなげよう」と、3年前から相模原市と協働して、普賢象の穂木を津久井中央小と尾崎咢堂記念館から、関山の穂木を青野原小と鳥屋出張所から各々50本ずつ採取し、同会の会員などの畑に移植し育成した。今回、配布される桜は、こうして育てられた桜100本が2mを超えるまでになったものだ。1月末から中沢小、旭小、藤野小、藤野南小、津久井高校など緑区内の学校等の他、上溝地区を中心に、市内の学校や自治会など10数カ所に計80本の桜を、咢堂桜の説明プレートを付けて配布し、随時植樹している。
2月9日に植樹を行った津久井高校定時制の千葉美希子教頭は「10年、20年後に生徒たちが桜を愛でる姿が楽しみです」と感謝の言葉を話していた。同会では、さらに来月に、残り20本を一般市民・団体を対象に、植樹希望者を募集する予定だ。同会では「今回配布しているのは、咢堂がワシントンに贈った桜の孫樹です。平和を愛した咢堂の精神や考え方が、咢堂桜を通じて多くの人に広がっていけば」と話した。
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