町田も激震 町田市 初の帰宅困難者対応
2時47分。昼下がりを襲った未曾有の大地震。町田でも震度5弱を記録した。町田駅前は電気がストップし、大きな揺れに店内では女性の叫び声や「外に出よう」という声が響き、店舗、ビルから多くの人が飛び出してきた。電車も信号も止まり、駅前は人で埋まり、タクシー、バスを待つ長い列ができた。小山が丘のコストコでは死者1名を出す大惨事も発生した。
町田市は被災による小田急線・JRの運休により、初めて帰宅困難者への対応を行った。市は被災30分後に災害対策本部を設置し、16時30分には町田駅前に職員39人を派遣して、駅前誘導を行った。当初は買い物する人などが対象となっていたが、仕事を終えた人たちも溢れ出し、20時には帰宅困難者のために一時待機場所として町田市民ホールを開放した。
東京都も21時39分に町田高校を解放、市は続いて22時35分に町田第一小学校も解放した。23時ごろには1500人ほどが町田市民ホールに集まったが、小田急線は午前0時ごろから運転を再開したため、次第に施設を利用する人も減り、翌12日午前7時20分に多災害対策本部を解散した。集まった人たちには備蓄していた毛布やビスケット、飲料水を配布した。
市は今回の帰宅困難者の対応人数を2000人〜2500人程度とみており、「電車が不通となり、徒歩またはバスでの移動を余儀なくされた。バスは長蛇の列を作ったが大きな輸送力を発揮してくれた。また、飲食店なども店を開いてくれ、待機場所になったと考えている」と話している。ただ道路が寸断され、バスもタクシーも動けず、徒歩以外に移動方法がなくなった場合や加えて飲食店なども休業せざるを得ない場合は、万単位の帰宅困難者が集結すると思われる。同ホールで待機している人に取材した中で「町田に来れば、何とかなると思って来た」と答える人が何人もいた。
市は「電車に加えバスの利便性、タクシーの多さなど町田駅前は交通の要となっているので、近隣の駅で被災した人も町田に集まるのではないか」と分析する。
コストコ
大惨事
「何故、ここだけ?」
遠目からでもはっきりと分かるその崩壊現場からは、テレビで伝えられる映像とは全く違う衝撃を受けた。ひどく折れ曲がり、潰れたスロープ。「何故ここだけ…?」。地元住民は、“信じられない”といった様子で救出作業を見守った。
11日国内観測至上最大となった大地震は、市内にも人的被害をもたらした。小山ケ丘のショッピングセンター「コストコ多摩境店」で、2階と3階を結ぶ立体駐車場の鉄筋コンクリート製スロープが崩壊、車3台が巻き込まれた。余震が続く中の救出作業は、笛の合図と共にスロープ内から脱出し中断。レスキュー隊からは疲労の色も見えたが、最後まで「頑張れ」と声をかけていた。地震発生当時、店内にいた人は、「グラグラ揺れて足元に商品が溢れかえった。外に出た際、道路が割れていないのが不思議だと思ったぐらい」と発生当時の心境を語った。
また、地震発生とほぼ同時刻に駐車場への唯一の経路となるスロープが崩壊したため、来店していた人々の車は現在も2、3階の駐車場に取り残されたままとなっている。具体的な店舗の再開、復旧の目処は立っていない現状。同じく地震発生時店内にいた女性は、「スタッフの素早い対応で無事誘導してもらえた。ただ、車は駐車場に残ったまま。仕事で使うのに手元に戻るのがいつになるかわからず、不安でいっぱい」と語った。
地震発生直後、店内にいた十数人が骨を折るなどの重軽傷を負い病院に搬送されたが、駐車場スロープに挟まれる状態で下敷きとなった男性一人、女性一人が車内に閉じ込められた。地震発生から約26時間後の12日午後4時45分、町田署や東京消防庁ハイパーレスキュー隊が男性を救出したが、助手席にいた女性一人が死亡する事態となった。
崩壊したスロープ。100t以上もあり、大型のクレーン車で作業を行った(12日午前11時撮影)
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