10周年を迎える環境保全サークル「かわ道楽」の創立者で、顧問を務める 堂前(どうまえ)雅史さん 和光大学教授 54歳
自然保護を「道楽」に
○…「きっかけは授業で通学路を流れる鶴見川をフィールドに選んだことだった」。約20人の学生らとサークルを作り鶴見川流域や大学付近の雑木林などで清掃や下草刈りの環境保全活動を行い、今年で丸10年。何年たっても「自然」への魅力は損なわれないという。「開発された住宅地にもちゃんと自然があるんです。研究者の我々には見つけられなかったことが、文系で、専門知識のない学生だからこそ発見することもあり、それが面白い」と学生たちの意欲を評する。
○…田んぼや森の中に入ったきり帰ってこなくて、親に叱られるような少年時代を過ごす。昆虫採りに熱中し、ヘビを捕まえて帰ってはまた親に叱られたという。運動少年というよりは理科室にこもるタイプのオタク少年。本と言えば図鑑で、読んでいると時間を忘れるほど熱中した。これは教授になった今でもそうで「何がそんなに楽しいのかと、学生たちに不思議がられるんだよね」とはにかむ。
○…ムツゴロウで知られる畑正憲氏にあこがれ、動物学に興味を持ち、そして同じく東大に入学。大学では劇作家・野田秀樹氏を輩出した劇団に所属し、大道具や小道具の裏方スタッフとして団員を全う。学生が社会と交わる原体験をそこで学んだ。今でも観劇が好きで、アンダーグラウンドなものから歌舞伎まで、時間を作っては楽しんでいる。「劇を観るお金を稼ぐために教授をしているようなもんですよ」と笑う。「今は『かわ道楽』の活動でその暇がないんだけどね」
○…活動を通じて学生たちと地元の人々との交流は盛んになった。「学生たちは地元のお祭りに参加したり、一緒に飲み会をしたり、その『ついで』で自然保護。でも自分たちの愛する土地、川、森となったからこそ、楽しんで活動できる。だからサークル名に『道楽』とつけたんだ」と少年の目で話す。そして学生と地域と自然を結ぶ「道楽」をこれからも続けていく。
|
|
|
|
|
|