6月2日まで町田市民ホールで書作展を開催している 下迫蘇香(そこう)さん 書道家 東玉川学園在住
基礎の上に新表現築く
○…「遊ぶような雰囲気を書で表現」することで来場者に楽しんでもらいたい。書道教室の生徒と共に、自由な表現方法で書いた作品の展示会を主宰している。漢詩などをテーマにしたスタンダードな書だけでなく、そのときの時流を捉えた言葉を作品にするなど、従来の書の表現を踏襲しながら、新しい作品に挑戦。そんな作品群は基礎を学んだうえで思い切り自己表現した「魂の発露」だ。
○…書は父が書道好きだったこともあり、正月には墨を擦るのが子ども時代の仕事で、学校で習う程度だった。本格的に始めたのは結婚後で「何かはじめよう」と基本的な書を学んだ。現在の奔放な作風が確立したのは早大の聴講生の時、芸術的な書で知られる師・駒井鵞静氏との出会いがきっかけ。「性格は非常におとなしい」と自己分析するが、「何やるかわからん」とは師匠談。「学ぶことで今までと全く違うものがふつふつと沸いてきた」。この出会いが無ければ「作風は平凡で終わっていた」。
○…ろうそくのロウで文字を描く作品を発表して注目を集めたが、実はこのろうそく、友人からのプレゼント。「あなたなら何かに使ってくれるでしょ」と言われ、「なにかしなくちゃ」と作品作りに活用した。そのほか、墨汁の代わりに柿渋を使ったり、割箸や竹ひごに書を綴るなど筆は選ばない。筆のみでなく、題材も社会の流れを取りいれた言葉を心で感じたように表現。一転して般若心経といった定番など多彩。「限りなく創造するのは楽しい」
○…趣味は旅行。世界50カ国以上を訪ね歩いた。特に好きなのがブータン。旅行を通して「物事を深く考える習慣が必要」と書に向き直る。書を分割して立体的に見える試みに挑戦するなど、「普通のことをやっていてはこれまでと何も変わらない」と新しい表現を追い続ける。そんな挑戦の中でもテーマは一貫して「弱いものに寄り添うような書でありたい」と優しい。
|
|
|
|
|
|