面発光レーザーの発明でフランクリン賞のバウワー賞を受賞した 伊賀 健一さん 町田市在住 73歳
レーザーと1本道極めて
○…「車のナンバーも1977。絶対に忘れられないから」と笑顔を浮かべる東京工業大学の前学長であり、名誉教授。2013年5月に世界的学術賞であるフランクリン賞のうち最高位であるバウワー賞を受賞した。光ファイバーや光学式マウスなど、世界中で使用される「面発光レーザー」を1977年に発明。以来あらゆる機器に応用されるなど継続的な功績が評価を受けた。日本在住の日本人が受賞するのは今回が初。
○…虫好きの理科少年時代を広島県呉市で過ごした。当時は軍港の見える山の上に住み、遊びといえば虫捕り。ジョロウグモ同士を喧嘩させたり、草むらの中にタマネギをつけた紐を吊るしてキリギリスを捕まえていた。「タマネギに夢中になって前後不覚になっているところを釣り上げるんだ」と少年のような表情で振りかえる。中学生になると手製のラジオを作るなど徐々に理科から科学の道へ進む片鱗を見せていた。
○…町田に住んで45年。広島から移り住んだ直後はやっと電車が走り始めた頃。すずかけ台は野原、田んぼだらけで何もなく、「小田急の新原町田駅も名前の通り原っぱだった」。夜にはたくさんのカエルの鳴き声で眠れない日もあったという。当時の国鉄では「チッキ」という駅間での荷物配送制度があり「郷里からみかんが送られてきて受け取りに行った」と懐かしむ。
○…趣味は音楽。東京工業大学での学生時代はジャズやハワイアンなどの音楽を聴きに渋谷へ繰り出し、コーヒー1杯で2時間粘って聞き入ったことも。中でもコントラバスの低音に魅せられ、大学の管弦楽団に参加。実は当初はサッカー部だったが「目が悪いのにヘディングなんてとんでもない」とドクターストップ。以来今でも町田フィルハーモニーに所属し、コントラバスの音色を響かせている。発明はレーザー、音楽はコントラバス、これからも1本の道をまっすぐに突き進んでいく。
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