「バルタン星人を知っていますか?」(小学館)を上梓した 飯島 敏宏さん 成瀬台在住 84歳
とっておきの日々の過ごし方
○…誰もが知っているバルタン星人。1966(昭和41)年、ウルトラマン第2話に登場した。多くの人に愛されるキャラクターを誕生させたが、「決して『かわいい』存在じゃないんだよね。みんなにそう言われちゃう」と苦笑する。高度な科学技術を持ちながら、無謀な科学実験の失敗により自身の星を無くしたバルタン星人。当時の世界情勢を憂い、自身の戦争体験によって誕生した存在だった。
〇…東京都文京区生まれの江戸っ子。5人兄妹の三男坊で、「全部、兄たちのお古でね。だから本はちょっと年齢の割に背伸びしたものを読めたのは、うれしかったね」。1945(昭和20)年3月10日の大空襲を皮切りに4月、5月と焼夷弾から逃げ惑ったが、家族みんな無事だった。絶望と飢餓だけが東京に残った。「でもね、瞬く間に平和と、アメリカと、青春がごちゃまぜに押し寄せてきたよ」と振り返る。
〇…大学卒業後、開局まもないTBSに入社した。「脚本を書く部署があるからと言われてね。でも入ったらそういう部署は無くてね。いきなりドラマのアシスタントディレクターになり、走り回ったよ」と笑う。ドラマは全て生放送の時代。テレビ文化とともに歩み始めた。少しずつ脚本を書く仕事も舞い込み、そしてウルトラQを手掛け、続いてウルトラマン、ウルトラセブンとヒット作が続き、その中で『バルタン星人』が生まれた。
〇…社会現象になったドラマ「金曜日の妻たちへ」を50代で手掛け、そして地元成瀬を舞台にした映画「ホームカミング」でメガホンを取った。子どもたちに夢と希望、社会の矛盾を伝え、「不倫」をテーマに社会を切り取った。そして引退した主人公が地域・住民と関わりながら第二の人生を歩み始めた。次は「第三の人生」。「どのように死を迎えるかというより、『とっておきの日々』をどう過ごすかということかな。そんな作品を作りたいね」
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