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町田版 公開:2017年7月13日 エリアトップへ

宮司の徒然 其の28 町田天満宮 宮司 池田泉

公開:2017年7月13日

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「趣味趣向」

 桜が終わって穏やかに一息。6月半ばからはアジサイが主役の季節。雨粒を纏ったアジサイに心和ませる方も少なくないだろう。梅雨の合間の猛暑もかなわないが、かといってどしゃ降りでも困る。主役に関係なく人の好みは贅沢、いや我儘だ。

 アジサイに「紫陽花」という字があてられているのは実は間違いで、元々は違う花にあてたのを平安時代に学者がアジサイに用いてしまったらしい。待宵草(まつよいぐさ)も竹久夢二によって「宵待草」として歌詞になり、語呂が良いというだけで逆さまになっているのに何の批判も受けなかったのだから、アジサイも定着してしまえばこっちのものということか。

 アジサイのルーツ、実は日本。山アジサイとかガクアジサイと呼ばれる地味故に侘びさびを感じさせる種類が元で、大陸へ渡り品種改良されながらヨーロッパへ渡り、西洋アジサイと呼ばれるゴージャスな姿になって戻ってきた。山アジサイが西洋アジサイにこう言うかもしれない。「あらまぁ、西洋に出掛けたら随分ハイカラになったねー」と。もっとも、華やかな花と呼ばれるのは実は萼で、本来の花は真ん中辺りにひっそりと小さく咲いている。言うなれば西洋で派手になったのは花ではなく花を支える萼だから、見た目で言えば下剋上か。さらにアジサイは土壌によって色が変わりやすい特徴もあり、また咲き始めから終わりにかけて色を変えるので七変化とも呼ばれる。

 近年、日本の侘びさび、原風景、職人技、伝統工芸などに惚れ込んで、日本の田舎に定住する外国人が増えている。その外国の方々が「日本人は日本の素晴らしさを知らない。海外旅行中の日本の若者に、日本の事を聞いてもあまり知らない。もったいない」と。なんとも心が痛むし、恥ずかしいと思う。

 アジサイの花の裏側から撮った写真が私の好み。何となく虫になった気分。雨を避けながらじっとしていると、紫陽花を眺めに人間がやってきて、写真を撮ったり顔を近づけたりしている。気を付けなさいよ。鈴蘭、朝顔、彼岸花、美しい花には毒がある。アジサイも例外ではない。愛着ある原点の築地にするか、最新設備の豊洲にするか知事はどちらを選ぶのか。土壌が汚染されているのは周知の通りで、地質で色を変えるアジサイを植えたら何色になるのだろうか。政治が七変化ではついていけない。知事に毒があるとは思いたくないし、美しいかどうかは趣味趣向の問題だから言及しない。
 

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