町田市内の振り込め詐欺などの特殊詐欺被害が深刻だ。市内の特殊詐欺被害は6月末までに57件、1億1360万円超の被害が確認されている。昨年の同時期より34件増え、被害額も3600万円増加している。特に昨年2件だった「還付金詐欺」は17件、約3000万円の増加となり、市や警察は、様々な形にシフトする詐欺に対し、注意を呼び掛けている。
還付金詐欺とは、自治体職員や税務署員を装った犯人が「医療費や税金が返還される」と言葉巧みにATM(現金自動受け払い機)を操作させ、振り込ませるもので、ここ数日の間にも市内で実際に町田市役所の名を騙った電話が確認されているという。このような現状を鑑み、「特殊詐欺被害ゼロのまち」を目指す町田市は10日、特殊詐欺被害の防止を図るため、警視庁町田警察署、警視庁南大沢署、(公社)東京都宅地建物取引業協会町田支部、(公社)全日本不動産協会東京都本部町田支部と「特殊詐欺根絶対策に関する協定」を締結した。市、警察、不動産業界が連携して特殊詐欺根絶を目指す。
今回の協定により、市と警察は特殊詐欺に関する情報を収集し、特殊詐欺の現状や手口などの必要情報を宅建業協会や全日本不動産協会に提供する。両協会は特殊詐欺に関する情報を入手した際に速やかに警察に通報する。また協会員に対しても、通報の呼びかけや啓発活動を推進する。さらに協会員が仲介した建物が特殊詐欺の「アジト」として利用された場合に、契約を解除、または契約解除に向けた措置をとる旨を盛り込んだ契約書や、特殊詐欺などに利用しない旨の確約書などの使用を働きかける。
東京都宅地建物取引業協会の諸澄誠司町田支部長は「以前には危険ドラッグ撲滅の協定を結ばせてもらい、しっかりと対策ができた。現在、協会では空き家問題に取り組んでいる。詐欺に空き家を利用されないよう、協力を強化していきたい」と話すと、全日本不動産協会の田代雅史町田支部長は「協会員のほとんどが集まる研修会を年に3回ほど行っています。その研修会に警察に来てもらい、啓発や情報共有していければ」と期待を寄せた。
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