6月にロシア・モスクワで開催された世界三大バレエコンクールの一つ、「モスクワ国際バレエコンクール」。ジュニア男子ソロ部門で金賞を受賞した千野円句(ちのまるく)さん(18)が8月8日、石阪丈一町田市長を表敬訪問し、受賞の喜びと今後の抱負を語った。
7月には芸術分野において国際的に活躍し、特に顕著な成果をあげた個人に対して文化庁長官が表彰する文化庁長官表彰(国際芸術部門)を受けた千野さん。日本に帰国したのは昨年の夏以来1年ぶりとなる。
モスクワに生まれ、小学1年から4年まで町田市立第五小学校に通う。その後、モスクワへ行き「いつかバレエ団で踊るプロのダンサーになりたい」との思いで、6月末までボリショイ劇場付属の「モスクワ国立アカデミー舞踊学校(ボリショイ・バレエ学校)」に在籍。昨年11月、シベリアグランプリ国際バレエコンクールジュニア男性部門第1位、今年の3月には全ロシアバレエコンクール”ロシアバレエ”第3位など、ロシア各地のバレエコンクールで相次ぎ優勝、入賞して注目を浴びた。金賞を受賞した「モスクワ国際コンクール」は1969年から4年に一度開催されている古い歴史と権威のあるコンクール。プロの参加も認められる大会で、14〜18歳が対象のジュニア部門で日本人男性の金賞受賞は2001年以来の快挙だ。
「金賞は本当にうれしい。これで学生時代を良い形で終えることができた。でも今はこれから自分の”職場”となるバレエ団のことで頭がいっぱい」。学校と違い、プロとして働く場となる憧れのバレエ団という世界に期待を膨らませている。
活動拠点はロシアに
昨年末に日本国籍を取得したが今後も活動の拠点はロシアに置き、ロシアに戻ってからはロシア国立ボリショイ・バレエ団に入団することが決まっている。同バレエ団には200人以上が在籍し、一つの演目で踊れるのは20〜30人。中でもソリストとして踊れるのはたった一人だ。
石阪町田市長から「ソロを目指して頑張ってください」と声をかけられると、「これからはプロとして第一歩からやり直します。最初の2、3年は舞台に立つことすらできないかもしれない」と弱気な発言も。それでも「自分はあと20年間ダンサーとして踊り続けられる。必要なのはセンスとやる気。天才ならすぐソリストになれるはず」と顔を上げた。
回転能力の高さが武器
極限に作り上げられた体と激しい運動量が必要なプロのバレエダンサーは40歳で踊れなくなるといわれる。「ロシアでは40歳から年金がもらえる」と千野さんが話すと、石阪町田市長は国家としてバレエに対する力の入れ方が違うと感心した。
バレエの世界に入るきっかけとなったのが祖母の運営するバレエ教室。帰国した短い夏休みを祖母のいる玉川学園で過ごすつもりだと話した。「息抜きに町田の駅前をぶらぶらしたいですね」と笑顔を見せた。
週に一度の休日以外はバレエの練習に明け暮れ、無類の練習好きとして知られる。丁寧な気質と卓越した回転能力を併せ持つと、その資質が高く評価されている。「応援してくれる人がいるから頑張れる。いつの日か日本で凱旋公演し、プロのダンサーとして踊る姿を見てもらいたい」
町田版のトップニュース最新6件
|
|
|
|
|
|