町田市舞踊連合会の会長に就任した 南条 久美香さん 木曽在住 83歳
全てを肥やしに芸道を生きる
○…「和の輪」をモットーにする舞踊愛好家たちの集まり。これまで縁の下の力持ちとして舞踊の発展に貢献してきた。今期から前会長を引き継ぐ形で500人を超える団体のまとめ役に。「人の前に立つのは恥ずかしい。でも私が一番古いから、仕方ない」と笑う。
○…民謡や演歌などの歌に合わせて踊る創作舞踊。南条流の家元として町田の踊りの礎を作ってきた自負がある。協会をつくり、連盟をつくり、「いろいろ首を突っ込んできた。呼ばれればあちこち駆けずり回って。そのころあまり先生がいなかったから」と懐かしむ。昭和52年の創琉公演を皮切りに市民ホールで何年も公演を行った。日本武道館や国立劇場で演じたことも。町田天満宮の祭りでも、奉納舞や着付けなどに携わる。芸道57年、「自分が好きでやってきたことだけど、ここまで続けて来られたのも、弟子や周りの人に支えられたから」と感謝を忘れない。
○…昭和19年、小学5年の頃に疎開で横浜から町田に。「当時の三ツ又はもう”山”よ。周りに何もない」。父と一緒に山を開墾し、慣れない農作業。まき割りをしたり、稲刈りをしたり…、都会とのギャップに泣いた。「いろんな体験をしたからこそ、踊りが生みだされているのかも」と今、思う。結婚後、芸道の道に入ると「南多摩郡成瀬村三ツ又」から「南」、規律を守るという意味がある「条」を取り「南条流」と名付けた。すべてが肥やしになっている。
○…15年ほど前、熱海の民宿の女将さんに踊りを惚れられ、その地で稽古をつけることに。町田と熱海を行き来する生活を続けると、「町田はひと段落したかな」と、網代駅前に稽古場を構え、移り住んだ。現在は南条流の70〜90代の弟子とともに地元を盛り上げている。そんな折の会長就任。「しばらくは息子に家に居候ね」。新リーダーとして秋の市民文化祭に向け、準備を開始した。周りを立てながら、皆より一歩下がって。
|
|
|
|
|
|