八王子の夏の風物詩といえる高尾山ビアマウントが6月15日から営業を開始した。1965年に開設して今年で50周年。当時のエピソードなどからその魅力を探った。
始まりは映画祭
高尾登山電鉄(株)(高尾町・大野彰社長)のケーブルカーの駅「高尾山」を下車してすぐの標高約500mの山中にある展望レストラン「高尾山ビアマウント」は、東京都内でもっとも高い場所にあるビアガーデン(春秋冬はレストランとして営業)。自然の中でビールが楽しめ、スカイツリーや東京タワー、江の島なども眺めることができ、例年6月から10月までの期間中、10〜11万人ほどが訪れる。
ビアガーデンの元になったのは、1954年に現ビアマウント施設のそばの駅前広場で始められた映画祭だった。翌年からは納涼ノド自慢大会に変わり、大会は芸能人を呼ぶなど人気のイベントに。そして1965年、ビアガーデンの営業を開始。当初は日曜日のみの開催だった。
羽田の飛行機まで
運営は高尾登山電鉄がしていたが、1992年からは外食業の株式会社アーバン(千人町・室星正彦社長)に委託。それまでの食券制からビュッフェスタイル(食べ放題)に変わった。「ビアガーデンといえばたいていビルの屋上だが、ここは山の中だけに(街を見下ろす)景色も楽しめる。晴れた日の夜であれば羽田空港で着陸待ちをしている飛行機まで見ることもできる」。そう話すのは、高校3年間ビアマウントでアルバイトをし、その後高尾登山電鉄の社員になった猪狩敏郎(50)さん。入社後もケーブルカーの車掌を務めるかたわら、週末はビアマウントの手伝いに行くことが多かったという。「お客様はビールや飲み物に夢中であまり気づかないけれど、会場の上をムササビが横切って飛ぶことがよくあるんですよ。そういった自然を感じることができるのもビアマウントの魅力のひとつ」と教えてくれた。
ミシュラン機売り上げ一気に
ビュッフェスタイルになってから順調に客足は伸びた。目に見えて多くなったのは2007年に発行されたミシュランのガイドブックで高尾山が最高評価の3つ星を得てから。メディアで取り上げられることも増え、ミシュラン掲載後は毎年2割ほど売り上げがアップし続けているという。
15年ほど前からビアマウントで働くマネージャーの岸本康樹さんは来場者の変化を話してくれた。「当時はスーツ姿の男性会社員がほとんど。今は男女比が半々くらい。特に若い女性客が確実に増えた」。背景には女子会ブームもあるのではないかと見ている。ビアマウントでは5年ほど前から女性に人気のデザートやイタリア料理を充実させ、本格的なピザの焼き釜も備えた。
オープンしたばかりの6月17日、ビールを楽しんでいたグループは、「去年ここで職場の暑気払いを開催したところ、とてもよかった。高尾山が有名になったおかげで、市外から通う社員からも行ってみたいという声が増えた」と話した。ビアマウントの今年度の営業は10月15日(木)までとなっている。
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