関東・東北豪雨で9月10日に鬼怒川の堤防が決壊し、大きな被害があった茨城県常総市。八王子市内からは東京都の要請を受けて2つの医療機関が医療チームを派遣した。参加した関係者に支援の状況などを聞いた。*中面に関連記事
都からの要請で医療救護班として被災地に派遣されたのは東海大学医学部付属八王子病院(石川町)と東京医科大学八王子医療センター(館町)。どちらも9月11日に出発し、茨城県常総市の水没した病院から自力で脱出できない患者を他の医療機関に搬送する活動をした。水があふれていて病院には近づけず、自衛隊がボートで運んできた患者を搬送した。12日に今回の活動を終了した。
八王子病院は医師1人、看護師3人、事務1人を派遣。同病院単独で他県に医療チームを派遣したのは初めてという。つくば市の災害対策本部で各病院の受け入れ態勢の確認などを行ったのち、常総市で搬送活動を始めた。通行止めを迂回しつつ1時間半ほどかけて搬送。チームを率いた鈴木陽介医師は「被災地で地元の若い人が手伝う状況を見ると、意識がガラリと変わった。東日本大震災に比べると医療ニーズは少なかった。今後、水が引いてからの健康管理といった総合的な支援が必要なのかもしれない」と話した。
八王子医療センターは医師1人、看護師1人、救急救命士1人、事務2人の計5人を派遣。救助が難航し、患者が救急車まで運ばれてきたのは深夜だったという。心電図の波形を確認するなど診察しながら搬送。新井隆男救命救急センター長は「緊急の場合に備えて薬剤も用意していたが使わずに済んだ。ほかの隊では搬送中に患者の様態が急変したケースもあったと聞いている」と話した。搬送先の病院へは通常ならば20〜30分で到着できる距離だが、橋が通行止めになっていたために1時間ほどかかったという。
なお、どちらのチームも防災の日にあたる9月1日に立川市で行われた防災訓練に参加しており、「そのおかげで装備品がどこにあるのかも把握した状態だった。派遣の知らせを聞いて何の違和感もなく行動できた」と新井さんは訓練の成果を話した。
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