演歌歌手で2月に新曲「流れ雲」を発売した 北山 たけしさん 市内在住 42歳
めざすは「故郷」八王子の顔
○…「歌手の夢は捨てろ」。21歳のとき、弟子入りを志願し玄関の前で10日間の座り込み。その後ようやく話を聞いてくれた北島三郎さんから言われた。「俺のもとで人として学ぶ気持ちがあるならいい。歌手になりたいやつはダメだ」。たいていの人はここで諦めるそう。結論を約束された10日後、再び八王子の北島さんの所へ。「また来たか」。門が開いた。
○…水郷の城下町、福岡県柳川市の出身。今もカラオケ教室を経営する父親の影響で4歳から歌い始める。歌手になるのは北島さんの大ファンである父親自身が果たせなかった夢でもあった。「(北島さんは)家では神様のような存在。毎朝写真を拝んでいましたから」と思い出して笑う。
○…「そろそろ船出をしてみるか」。北島さんからデビューの知らせだった。付き人時代は傍にいるからといって歌について教えられることは一切なく8年間、365日、師匠の世話をした。デビューが決まるとそこから毎晩のように怒られながら指導を受けた。録音に3日を要した渾身のデビュー曲「片道切符」(2004年)はヒットしその年、レコード大賞新人賞、日本有線大賞新人賞など数々の賞を受賞した。これまで17枚のシングルを発表し、紅白へは5回出場。航海は順調のようだ。
○…八王子で暮らして21年。修業時代、挫けそうな時は高尾山によく登り自身を叱咤激励していたそう。その気持ちを忘れぬよう、今でも新曲を発売する際は「お山」でヒット祈願をし、節分祭は師匠とともに訪れる。1年の半分以上を地方で過ごすが、休みの日は市内で妻とのんびり。「たけちゃん頑張って!いつも応援しているよ」と地元ならではの温かさに触れることもしばしば。「ここは第2の故郷(ふるさと)。八王子と言えば北島、そして北山と言われるようになって恩返しをしたい」。八王子の街中で声をかければ、この笑顔を返してくれる。
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