八王子版 掲載号:2016年4月21日号
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50年ぶり 半玉デビュー芸妓組合・くるみさん

文化

お茶の稽古をするくるみさん
お茶の稽古をするくるみさん
 八王子芸妓組合(中町)のくるみさん(17歳・置屋ゆき乃恵)=写真=が5月11日(水)、「半玉(はんぎょく)」となり初めてお座敷にあがる。労働基準法では18歳未満の酒席に待する業務を禁じている。くるみさんはこの春、誕生日(4月25日)をむかえることで18歳となり「仕込みっ子」から卒業し晴れて舞台にあがることができる。八王子花柳界にとって半玉デビューは50年ぶりのことという。

18歳 いざ「お座敷」へ

 「半玉」とは芸妓見習いのこと。花柳界では裏方に徹する「仕込みっ子」(18歳未満)、「半玉」(18歳から20歳)と一人前の芸妓になるための課程がある。半玉は日本髪(自髪)と振袖でお座敷にあがる。

 くるみさんは1998年生まれ。墨田区の向島出身で小学生の頃、知人に誘われ日本舞踊をはじめた。中学3年になり進路を考えていたとき、師匠から「芸者の道」を教えてもらった。そして師匠の縁で八王子芸妓衆の舞台をはじめて観て心を打たれる。「おねえさん(芸妓の先輩)みたいになりたい」

 母親は強く反対した。「高校を卒業してからでも遅くはない」。まわりもそう説得をした。一方、ある先輩から「16歳から修業をする方が、思い入れが違うと感じてもらえる」ともアドバイスを受けた。くるみさんにはこの言葉の方が心に響いた。「『本当に踊りをやりたい』という気持ちが伝わったんだと思います」。泣きながら母親に頼み承諾を得た。その母親も今ではくるみさんがテレビに映った画像をケータイに大事に保存しているそうだ。

 16歳で置屋に住み込みの生活を始めた。「体力面が想像以上に大変でした」。午前中にお茶、午後から三味線、踊りなどの稽古、そして夜にお座敷での「お運び」などと1日めいっぱい動く日がほとんど。置屋では先輩の着替えを手伝ったりもする。

めぐみさん 「意志の強さ感じる」

 「2年間よくがんばりましたね」。面倒をみる置屋ゆき乃恵のめぐみさんは途中辞めてしまうことも覚悟していた。「最初の印象はとてもおとなしい感じ。でも目を見て話す姿勢など、自分の意志を伝えようとする気持ちは感じました」と当時を振り返る。

 めぐみさんによると、中学を出て芸妓を目指す場合、京都へ行くのが一般的だそう。京都にはその仕組みができあがっており、くるみさんのように八王子花柳界でその道を志すケースは「これまで皆無」という。半玉のデビューは1960年代に活躍したさざえさん以来、およそ50年ぶりのことだ。

 疲れて1日が終わっても自宅のようにのんびり休むことができない。住み込み生活は常に緊張感がある。めぐみさんは「覚えてきたこと一つ一つを大切に」とエールを送った。

「おねえさんみたいに」

 くるみさんの半玉デビューは5月11日、八王子芸妓を支える集まり「八王子黒塀に親しむ会」の総会の中に設けられる。「ずっと外から見ていたので、まだ実感はありません」とくるみさん。今後の目標については「おねえさん方みたいになりたい。お客様を喜ばせたい」と目を輝かせた。

黒塀会・福山さん「大切な文化」

 八王子黒塀に親しむ会(福山眞吾会長=写真)は今年結成17年目を迎える。

 「置屋ゆき乃恵」のめぐみさんが精力的に活動をし出した頃、芸妓衆を応援するための組織として経営者らが中心となり立ち上げた。現在は200人ほどの会員が所属している。

 かつて八王子には200人以上の芸妓衆が活躍し中町は花街として栄え、置屋や料亭が多数存在した。その地域で長く酒店を経営する福山さんは「うちの親父は夕方になるといつもそこへ出かけていたよ」と当時を振り返る。

 今回、総会でデビューの場を用意したくるみさんについては「踊りがしっかりしている」という印象を持っている。「やはり文化。八王子では宴席があるとよく芸妓さんを呼ぶもの。これからも大切にしていきたい」

くるみさんを見守るめぐみさん
くるみさんを見守るめぐみさん

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