八王子市と法政大学、UR都市機構の3者は先ごろ、寺田町のグリーンヒル寺田団地内にコミュニティスペースを開設した。子どもから高齢者まで幅広い層が交流を果たせる「場」を設けることで、高齢化が進む「グリーンヒル」周辺地域を活性化させたい考えだ。
完成したコミュニティスペースは、団地1階に設置され、面積は約82平方メートル。名称は、公募のうえ「グリーンヒルおひさま広場」と決まった。団地住民の「井戸端会議」の場としての活用や、法政大学学生らが主催する地域交流イベントの会場などに使用される。開設後、定期的に「広場」を使用する団地住民で構成される手芸の会「蒲公英(たんぽぽ)」のメンバーは「以前は屋外で会を開いていたので、冬は寒くて大変だった。ここはトイレもあって快適」と笑う。
多世代「集まる場」に
この取り組みの背景にあるのが団地住民の高齢化だ。1980年代のグリーンヒル寺田団地(81年開設)は、当時30〜40代の子育て世帯が多く入居し、子どもたちが団地内で遊び回る姿が頻繁に見られたものの、00年代に入る頃には、その「賑やかさ」は減少。現在は、子どもを独立させた65歳以上の夫婦や高齢単身者が多く住んでいる。
そのため、団地を管理するUR都市機構は、団地周辺住民らと若い世代が交流できる場をつくり、地域を活性化させる必要があると判断。市や、以前より団地内で地域交流イベントを開いていた法大と、3者で団地周辺地域の活性化を協働で行うことで合意(3月に協定書を終結)し、今回はその取り組みの一環となる。
子どもたちが高齢者から「昔遊び」を教えてもらい、それが子どもの見守り、親の負担軽減、高齢者の生きがいづくりにつながる――などのイメージを3者はもっている。「住民の皆さんが自主的に地域交流を果たせるようにサポートしていくのが我々の役割」とUR担当者は話す。
学生の「集客力」が鍵
円滑なコミュニティ運営に欠かせないのが学生の活動だ。法大生は14年度から団地内で、ワークショップやエクササイズ教室などを開き、周辺地域の活性化にひと役買ってきた。
平日でも活動できる点や、行政や企業には無い「若い」柔軟性のある取り組みで「集客」を図ることができる。
学生を見守る法政大学多摩地域交流センターの担当者は「団地での活動は学生にとって実践的な学びの場となっている。活動を通して、学生の自主性が増した」とみている。
開設当時から同団地に住む清川靖子さん(81)さんは「このようなコミュニティ施設があることが団地の魅力として広まり、多くの若い世代が団地に住むきっかけになってくれれば」と期待を寄せている。
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