10回目を迎えるイベント「みんなちがってみんないい」の代表 保高 泰一さん 元八王子町在住 67歳
音楽から学んだ「多様性」
○…通算25年、環境をテーマにしてから10年続いているイベントをまとめる。ステージや体験コーナー、世界の料理を楽しめる「音楽フェス」スタイルの催しだ。「毎回、『今年で辞めよう』と提案するんだけれど、ここまで続いてしまった」と冗談めかす。「準備が大変だけれど、当日は楽しいから続けちゃうんだよね」
○…第1回は「上々颱風(しゃんしゃんたいふーん)」のコンサートを八王子で開くことがきっかけだった。同バンドは各地の文化を取り入れた無国籍音楽だったこともあり、多文化共生がイベントのテーマになった。「当時はバブルの最期の頃。中東から出稼ぎに来る外国人も多く、異文化と交流することは差し迫った課題だった」。イベントを通じて障害者や外国人などに接してもらうだけでも理解につながると考えた。「だから『支援』ではなく、『みんな一緒に生きている』ということを感じてもらうことが目的」と話す。
○…「大事なことは音楽から学んだ」。たとえば、ジャズの生まれた背景を勉強するだけでアメリカの歴史や政治を知ることにつながるという。大学受験を機に新潟から上京。今年の3月まで34年間営んでいた明神町の喫茶店ではジャズ、クラシック、ラテン、アラブと様々な曲をかけた。「日本で聞こえてくるのは日本語か英語の曲ばかり。ほかの言語でもいい曲はたくさんあるのに」
○…有志の手弁当で作るイベントで、音楽フェスとして先駆けた取り組みだった。環境問題を取り入れたのも早かった。現在は、市内でも他の各種団体による様々な催しが増え、その分、来場者が減少してきているが「ある意味、発展的解消。イベントが増えるほどまちの魅力につながる」と話す。「みんな〜」のテーマである「多様性」が浸透してきた証ととらえている。市民発のイベントの草分けとして「素人でもイベントができるんだ」と知ってもらえた面もあると満足そうに微笑んだ。
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