糖尿病の基礎知識や予防法などについて、東京医科大学八王子医療センター(館町)の大野敦医師に話をきいた。
すい臓 大切に
―どうして糖尿病になるのですか
「複数の遺伝因子に、過食、運動不足などの環境因子が加わって発症するといわれています。たとえば母親が糖尿病で自分もなった場合に、遺伝の要因と、母親から受け継いだ食習慣などの環境の影響も無視できません。それゆえ子供への食育は重要です」
―エネルギーの過多が引き起こすものですよね
「食べ過ぎなどで内臓脂肪が増えると、インスリンの働きが悪くなります。そのためすい臓はインスリンを過剰に出して、血糖値を下げようとします。そのうちにすい臓が疲弊してインスリンが減り、血糖値があがってしまいます」
―対策として最近は「糖質制限」などの言葉をよく聞きますが、有効でしょうか
「私たち糖尿病専門医は、まずバランスの良い食事を続けることをお勧めしますが、長期の安全性が確立されているからです。糖質制限は、血糖値の低下には有用な方もおられますが、食事のたんぱく質や脂質の割合が増えるため、糖尿病腎症や動脈硬化疾患が進行している場合などには注意が必要です。自分の病状に合っているかどうか、かかりつけ医にまずは相談することが大切です」
―糖尿病の予防のためには
「きちんと食事を3度とること。朝食を抜くと空腹時間が長くなり、血糖値をあげるホルモンが長時間分泌され、インスリンの効きを悪くします。程よい間隔でエネルギーをいれることが大事です」
認知症が増加傾向
―運動も大切ですよね
「車の保有台数と糖尿病の患者数の年次推移が比例していると言われます。つまり運動不足が病気を招いていると。体を動かすことはとても大切です。私は歩数計を20年以上つけていますが、毎日歩数をカレンダーに記入し、患者さんとのコミュニケーションにも利用しています」
―長く患者さんに接してきて最近の傾向はありますか
「高齢の方が多く、認知症を患う人が増えています。認知症になると、服薬の管理が難しくなります。認知症は過度の血糖コントロールによる低血糖も原因のひとつと言われていますので、病状に合わせて血糖コントロール目標を設定することが重要です」
―市民へ伝えたいことは
「『食事制限をする』というより『健康な食生活を謳歌する』でいいんじゃないですか。また普段からみんなで健康のことを話題にするといいと思いますよ」
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