栽培に力
新たな八王子の特産品として地元産の「自然薯」が根を張りつつある。外食業(株)アーバン(千人町)では、高尾山の賑わいを少しでも市内に還元することを目的に、八王子産の自然薯栽培に力を入れている。
「年間300万人が訪れると言われる高尾山だが、市街地への経済効果にはつながっていない」と同社の佐藤久牧会長。そこで、高尾山の名物であるとろろそばに目をつけ、3年前から地元農家に依頼して自然薯作りに乗り出した。とろろは粘りのあるイモを摩り下ろしたものので、その中でも自然薯は流通量も少なく貴重。八王子産の自然薯を使うことで、差別化を図ることが狙いだ。
「食べられる店」オープン
同社では、普及のためのアンテナショップとして今年6月に開業したイーアス高尾の中にそば店「高尾の桜」をオープンさせた。かば焼きにしたものなど、自然薯メニューが豊富にそろう。自然薯は健康志向の高まりから需要が増し入手しづらく、地元産だけで賄えてはいないが「地元産の自然薯が食べられるのはここだけ」という。自然薯を提供することで確実に農家に需要を生み出すことができ、また、自然薯を広く知ってもらうための出店だ。「自然薯は香りも粘りも格別。そばに入れる以外にも使い道は豊富だし、そのものでもお土産になる」と佐藤会長。
高月町にある石川稔さんの農園では、今年から自然薯を育て始め、収穫が間近に迫っている。「植えつけは大変だったが、その後は収穫まで手間がかからない」と話す。元々、山に自生しているものなので、肥料を与えるとかえって生育が悪くなるという。佐藤会長は「農家の高齢化や兼業農家でも導入しやすいという利点もある」と話す。
和菓子などにも
「高尾の桜」の店長を兼任する同社の渡辺徹部長は「色々な店を出しているが、この店は常連さんになってくれる率が高い」と手応えを感じている。「市のシンボルである高尾山のイメージにもマッチした八王子らしい食材。昔から和菓子の材料にも使われていた。洋菓子にも利用できる。加工業者や販売店など、様々な事業者が参加できるのも利点」と話す。
生産者・店・加工業など、幅広い業者が参加できることから、今後の「特産品」化へ大きな可能性を秘めている。
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