「芸者衆に花束を。八王子花柳界、復活」を上梓した 浅原 須美(すみ)さん 国分寺市在住
感謝と応援の花々を
○…八王子芸者衆についての10年間の取材を一冊にまとめた。若手の増加、行事の復活、マスコミの注目などから花柳界の「復活」を宣言する。本にすることを決めたのは昨年5月。そこから追加取材し11月から5カ月かけて書き上げた。今年3月、芸者衆にゲラ(校正刷)を見せると大きな拍手が。「ほっとしました」――。目標としていた5月の「八王子をどり」に間に合った。芸者に関する本は数あれど、「八王子」に焦点をしぼったものはこれだけだ。
○…国分寺に生まれ小中高と山梨県で過ごし、横浜市立大学へ。「何か作る仕事がしたい」と、就職先は都内の出版社。百科事典の編集などに携わった。結婚のタイミングもあり退社をするとフリーランスのライターに。雑誌などで主に「旅行」「健康」をテーマとした記事を手掛ける。「家庭画報」での連載は20年以上も続いている。
○…その原点は小学校の卒業文集にあった。自身の「引っ越し」がテーマで「(リアルな内容に)今見て『うまいな』と思いました」と笑う。文章を書く上で心掛けるのは「わかりやすいこと」。そのために何度も何度も書き直す。今回の著作には11回直した部分もあるそう。「読んでいる人が後戻りするようではダメ。でも満点でもダメなんです」。多少「ひっかかり」があった方が印象に残るとも考える。「こんなに言いたいことを伝えてくれたのは初めてです」。かつて取材をした店主の一言。磨かれた文章は人の心を動かす。
○…花街を取材して20年。テープおこしの資料など、「本棚2段分」の量がある。「今度は若い世代の子を中心に書いてみたい。ぜひパート2も」。全国で花柳界の衰退が進む中、八王子が芸者衆の活躍する街であるのは「すごいこと」と称え、市民に「まずはイベントなどに行って、生で見てみてください」と呼びかける。本のタイトルにある「花束」には(復活の)感謝と応援の思いを込めた。
|
|
|
|
|
|