市民が主体となって「自然エネルギーの地産地消」を目指す活動を行っている一般社団法人多摩循環型エネルギー協会(桃井和馬代表理事)。同協会は現在、同じく市民出資で設立された「多摩電力合同会社」(秋元孝夫代表)の委託を受けて、市民出資者からの寄付金を助成する事業「たまサンサン助成金」を実施。現在、多摩市の環境向上や意義ある活動を行う市民団体等の募集を行っている。
同協会は、東日本大震災、福島第一原発の事故を契機に、エネルギーを地域の問題と捉え、原発に代わる安全な方法を模索しようと市民有志の活動から2012年に設立。再生可能エネルギーのあり方や、自然エネルギーの普及啓発活動として「エネ・カフェ」や「次世代リーダー育成プログラム」などを行っている。
設立された12年には、その取り組みが環境省の「地域主導型再生可能エネルギー事業化検討業務」に採択され、「自然エネルギーの普及」を目標に、多摩市や多摩商工会議所、多摩信用金庫、まちづくりの専門家、市民が連携して「多摩市再生可能エネルギー事業化検討協議会」を発足。太陽光発電を中心とした省エネ・創エネ普及の取り組みをどう事業化できるか検討を重ねてきた。
市民出資で発電所
そうした中で、同協会が母体となり、市民出資で同年に多摩電力合同会社を設立。同社は、多摩市と協会の3者で協定を結ぶなど、市内の公共施設や、ニュータウンの集合住宅の屋根を資源として太陽光パネルを設置し、自然エネルギーの市民発電所を作る計画を練ってきた。13年には、恵泉女学園大学で1号発電所が完成し、現在までに市内の小中学校などの公共施設や民間施設など15カ所(市外含む)で「たまでん発電所」を設置している。
この発電所設立の資金となったのは金融機関からの融資と、市民からの”志金(しきん)”だ。これまでに2回、市民向けに「たまでん債」を募集し、2014年発行分は約3000万円の出資があったという。この「たまでん債」は、配当の2分の1が地域貢献への寄付に充てられる仕組みとなっており、今回募集をしている「たまサンサン助成金」はこれにあたる。
「多くの応募を」
「たまサンサン助成金」として助成する金額は20万円で、対象期間は今年4月1日〜9月30日。広く多摩市の環境の向上や、意義のある活動、事業を行う団体が対象となる(1、2件)。応募の締め切りは3月11日(金)。同協会事務局の高森郁哉さんは「環境に役立ち、広い意味で地域づくりを行う活動や事業を募集している。例えば、エネ協で取り組んでいる電動アシスト自転車でエネルギー啓発ツアーのような啓発イベントや、キャラクターを使ったPRダンスなど、多くの皆さんから応募いただければ」と呼びかけている。
今後については「東日本大震災から5年になる。電力の自由化なども始まり、一般家庭で電気エネルギーの考え方が変わってくる転換期にあると思う。市民発電所も現在集合住宅での設置を進めている。今後も、今までと違った趣向の企画を立て、温暖化対策、省エネ・再エネの取り組みを進めていきたい」と意欲を見せている。
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