「遠い先祖から受け継がれた郷土の大切なものを次世代につなげたい」――。その思いから立ち上がった市民団体「多摩の民話実行委員会」(猪股良子代表)と公益財団法人多摩市文化振興財団が主催する舞台「民話を訪ねて…多摩の里」が11月27日(日)、パルテノン多摩小ホールで開催される。地元の先人が残してきた民話や伝説、伝承話を後世に残そうと2007年に企画され、今回で4回目。「多くの人に地元のことを知ってもらえたら」と猪股代表は話す。
地元在住で、音楽関係の仕事に携わっている猪股代表がこの企画を立ち上げたのは2007年。関戸で農業を営む井上正吉さんが書き綴り自費出版していた作品『多摩の民話』を所有していたことから「ニュータウンが大部分を占める多摩には、転居してきた人が多い。そうした人たちだけでなく、地元に住んでいた人たちにもぜひ郷土の歴史を知ってもらいたい」と、パルテノン多摩20周年市民企画の公募を知り、舞台にしようと応募。合格したことから企画が動き出した。
井上さん本人に直接話を聞き、市に残された資料をもとに舞台化を進めると同時に、実行委員会を立ち上げ、出演者もオーディションで集めて、同年10月に「〜語りと音楽で綴る〜民話を訪ねて…多摩の里」の開催に辿りついた。公演には市内のみならず、近隣からも大勢訪れるほど好評を博し、「何年もここに住んでいたけど、今まで知らなかった」「昔を知ることで知らなかった多摩に出合えた」という声が多かったという。
それを受けて、2011年に第2回、14年に3回を開催。井上さんの本だけでなく、地元の歴史に詳しい横倉鋭之助さんが著した『おしゃもじさま』や、同じく峯岸松三さんが落合近辺に伝わる話を残した『桜物語』を組み合わせて、舞踊も織まぜながら舞台を披露し、好評を博した。
未来を背負う子どもへ
「多摩の歴史が織り込まれている民話や伝説、伝承話を伝える方はご高齢で、すでに亡くなられている方もいらっしゃる。伝える資料があってもこのままでは埋もれてしまう。多摩の大切な文化遺産である民話を通して、素朴さや温かさを、未来を背負う子どもたちに伝え、多摩の良さを知ってほしい」と猪股代表は舞台への思いを語る。
11月27日の公演に向けて、現在、オーディション等で集まった市民らで稽古を重ねる。第1部では民話を中心にその背景にある多摩の里を、第2部では関戸合戦、もうひとつの影取池伝説についてを、8人の語り手と太鼓、舞踊、映像、音楽で紡ぐ。午後3時半開演(3時開場)。有料。
チケット等に関しては、チケットパルテノン【電話】042・376・8181、もしくは猪股代表【携帯電話】090・5443・8397まで問い合わせを。
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