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多摩版 公開:2017年10月5日 エリアトップへ

ピンクリボン月間 乳がん患者に寄り添って 2団体が市内で活動

社会

公開:2017年10月5日

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ロゴマークを製作して活動を行っている
ロゴマークを製作して活動を行っている

 毎年10月は「ピンクリボン月間」として、世界中で乳がん検診の早期受診などの啓発活動が行われている。そうした中で、多摩市内でも乳がん患者に寄り添うための活動を行っている団体がある。今回、多摩市乳がん啓発の会「SAKURA RIBBON」(小林有美代表)と、「がんママカフェ」(井上文子世話人)の2団体に話を聞いた。両団体とも、乳がんを患った女性の体や心の悩みなどを気軽に打ち明けてもらおうと定期的に活動を行っている。

 「SAKURA RIBBON」は、市内在住の小林さんが今年2月に立ち上げた。大手化粧品メーカーで栄養士として社員の栄養指導を行っていた小林さん。結婚を機に退職。その後、子育てをしながら、会社勤めをしていた時期もあったが、病気の両親の介護に追われる生活を送っていた。そうした中で昨年、毎年受診していた市の健診で乳がんを患っていることが発覚。精密検査を受けたところ、悪性だったことが判明し、手術を受けることになった。

 「告知を受けてから手術を受けるまでの間、すごく不安だった。高校2年生だった一人息子もいるし、正直うつ状態だった」。病気のことや、両親・子どものこと、そして自分自身のこと。家族にも友人にも相談できず、不安な日々を送っていた時に出会ったのが、都内の乳がん患者会だった。手術の際のアドバイスや、術後のことなどを聞くことができただけでなく、治療をして元気になった人たちの言葉や姿に励まされたという。

「おしゃべりの会」を

 「落ち着いたら多摩で同じような活動がしたい」。乳房の全摘出手術、再建術を受けた後、術後の経過も良好だったことから、今年2月に会の活動を始めた。

 「子どものことや治療、抗がん剤の副作用など不安がありながら、多くのお母さんたちは心配はかけまいと周囲に話すことができない。患部が患部なので男性には話しにくい。がんにも種類があって医学的なアドバイスも難しい。だからこの会は、話を聞く場なんです」と話す。毎月1〜2回、TAMA女性センター(聖蹟桜ヶ丘ヴィータコミューネ7階)で「おしゃべりの会」を開催している。

初のヨガ教室も

 10月29日(日)には聖蹟桜ヶ丘で初めての「女性がん患者のためのYOGA」(午後2時半〜・有料)を企画。小林さん自身、乳がんを患う前にヨガ教室に通っていたが、術後の影響でできない動きがあったり、人前での着替えに抵抗があり通えなくなったことがあったという。そこで偶然今回講師を務めるインストラクターの中里貴子さんに出会った。中里さんも乳がん体験者で、小林さんの依頼を快諾してくれたことから、今回のがん患者対象のヨガ教室が実現した。

 小林さんは「市の健診でがんを見つけることができた。だから多摩で恩返しがしたい。自分を大切にするためにも乳がん検診の重要さを伝えていきたいし、話を聴くことで乳がんを経験された皆さんの背中を支える活動をしていければ」と今後への意欲を語った。

 同会への問い合わせは、【メール】cherry.cancer@sakuraribbon.orgへ。

「一人じゃないと伝えたい」乳がん患者が語らう場を

 「がんママカフェ」は、月に一度、唐木田の「カフェ・ド・スール」で、乳がんを患った人たちが集い、病気のことや家族、子どものことなど自由に語り合える場をと活動を行っている。

 世話人を務める井上文子さん=町田市在住=は、7年前に当時まだ幼い息子の授乳をしている際に胸にしこりがあるのが分かった。違和感を覚え病院へ行くも「授乳中はマンモグラフィーを受けることができない」と言われ、助産師のマッサージを受けながら子育てを続けていた。しばらくして、しこりが増え、痛みがあったため、病院で再度検査を受けるとがんであることがわかり、しかもかなり進行していたという。

 それから乳房の摘出手術を受け、化学療法も1年半にわたり続けていたが、きつい副作用などで、体も精神的にもつらい時期が続き、人前に出ることができない時期もあった。そうした中で、息子が重度の食物アレルギーだったこともあり、周囲の友人たちに現状を伝え、協力を仰ぐと、助けてもらえることができたという。

活動の輪を広げていきたい

 運命的な出会いが訪れたのは2年前。夫が常連だったカフェ・ド・スールの田原さんが乳がんで闘病中だったことを知り、話をすると意気投合。「病気のことなど、自由に語り合える場をつくろう」と「がんママカフェ」を立ち上げることになった。

 会には、毎回10人ほどが集まって思い思いに語り合っているという。中には、余命宣告された人、乳がんで娘を亡くし孫を引き取って生活しているという祖母、妻を亡くしたパパが参加することもある。

 「子育て中にがんになり、つらい経験、思いをするママたちを増やしたくない。若いママたちは自分のことは二の次、三の次になりがち。こうした出会いの場をつくり仲間がいるということを伝えていきたい」と井上さん。田原さんは「若いママにアドバイスすることもできる。こうして働いている姿をみせることで力になれたら」と話す。

 次回は、10月23日(月)午前10時半から。「今後はパパだけの会も開いていけたら。今はまだ小さい活動だけど今後も続けて活動が広がっていけば」と井上さんは話している。

 「がんママカフェ」についての問い合わせは、井上さん【メール】ganmamacafe@gmail.comへ。

「SAKURA RIBBON」の代表小林有美さん
「SAKURA RIBBON」の代表小林有美さん
世話人を務める井上さん(左)と田原さん(右から2番目)。昨年7月に会の活動に参加した世界で乳がん啓発活動を行っているキャロライン・テイラーさんと、ベトナムで小児がん支援を行っている渡辺和代さん
世話人を務める井上さん(左)と田原さん(右から2番目)。昨年7月に会の活動に参加した世界で乳がん啓発活動を行っているキャロライン・テイラーさんと、ベトナムで小児がん支援を行っている渡辺和代さん

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