大和市長選挙 大木氏が勝利 「健康都市」継続
任期満了に伴う大和市長選挙が4月24日の投開票で実施され、現職で無所属の大木哲氏(62歳)が4万8157票を獲得して当選。再選を決めた。大和市議を5期20年務め、市長選に初挑戦した元市会議長の荻窪幸一氏(55歳)は、社民党と神奈川ネットなどから推薦を受けたが現職の2期目を阻止することはできなかった。
「市民VS組織」の構図が奏功
選挙戦の背景
大和市で、現職2期目の市長選が投票となったのは、昭和54年の遠藤嘉一元市長の2回目の選挙以来、32年ぶり。土屋侯保前市長、井上孝俊元市長の2期目はいずれも無投票だったが、今回は昭和54年と同様に現職と新人による一騎打ちの構図となった。
まず名乗りを上げたのは、現職市議で市会議長経験者の荻窪氏。昨年11月に社民党を離党し、12月に出馬を表明した荻窪氏は大木市政との対立姿勢を示し、「大和市の最高規範である自治基本条例を無視した市政運営」「厚木基地の騒音問題に消極的」などと批判した。
現職の大木氏は、2月中旬まで自らの進退について公言することはなく「公務優先」の姿勢を堅持。3月議会に提案する平成23年度当初予算の編成を終えた2月14日に会見を開き「『健康都市やまと』をさらに推進する」とし再選を目指す意思を正式に発表した。
その後、3月議会最終日の3月11日に、東日本大震災が発生。支援策を次々と打ち出すなか、具体的な政策発表の場を設けられずに選挙選へ突入した。
「組織の外側」
選挙戦で大木氏は、1期目に取り組んだ「人・まち・社会の健康」の成果を強調。今回の選挙を「4年間の通信簿」と位置付けたうえで、「こども、高齢者、福祉、医療、環境、大和駅周辺」などをまとめた「大木の8策」を示し、これらを「スピード感のある行政運営で行う」と繰り返した。
相模原市内で歯科医院を開業し、横浜市青葉区選出の県議を12年務め、4年前の選挙で大和市長に就任した大木氏。「多選阻止」で勝利した4年前の勢いは今回も衰えず、前回より8千票以上を上乗せして2期目への信託を得た。
大木陣営の選挙戦は、県議時代からのボランティアスタッフが運動を担うが、名簿集めや事務所での電話攻勢などは行わない独自のスタイル。組織に頼らない構図を強調しつつも側面では前回に続き公明党関係者の支援を受けている。
大木氏は「(組織の代表のような)いわゆる声の大きい市民よりも、普通の市民、サイレントマジョリティが勝たせてくれた。組織VS民(市民)の戦いに民が勝利した」とし、2期目に向かっては「1期目とは違う責任を感じる。市長としてブレずに、スピード感を持って選択、決断していきたい。一人ひとりの市民が大和市をつくっていく。一部の強い声に従う行政ではなく、市民の気持ちになって一生懸命に取り組んでいく」としている。
今回の勝利で大木氏は県議時代から通算して5戦5勝。いずれも前回の獲得を上積みしての勝利だ。
前市長が加勢も
大木市政に批判的な議員が複数いたなか、ただ一人、市長選に挑んだのが荻窪氏だった。
無所属として選挙戦に臨んだ荻窪氏には、社民党や神奈川ネット、厚木基地爆音防止期成同盟、県中央地域連合などが推薦した。
商業の活性化や都市環境、市民参加など「8つの提案」を軸に政策を提示。選挙直前には市長報酬の削減や2人いる副市長の1人減などにも踏み込んだ。
ほぼ同時期に4年前の市長選で落選した土屋侯保前市長が「荻窪支持」を公言し始め、投票日前日の大和駅では土屋氏がマイクを握り「今の大和を変えなければいけない。できれば土屋市政の4年前に戻したい。これを託せるのは荻窪さん」と演説したが聴衆からの拍手はまばらだった。
荻窪氏は24日深夜、「今回、市民参加の市政、対話の市政を目指し、市民の皆様に訴えてきたが、残念ながら私の力不足で結果としては負けてしまった。私に期待して多くの皆さんが『市政を変えよう』と投票していただいた。その力、その声を市政の中の舵取り役として活かすことが出来なくて申し訳ない。大変、お世話になりました」と頭を下げ敗戦の弁を述べた。
|
<PR>
|
|
|
|
|
|