県道丸子中山茅ヶ崎線と小田急江ノ島線の交差方式を検討する「桜ヶ丘交通まちづくり検討委員会」(黒川洸委員長)がこのほど、「鉄道高架化」を推奨する提言書をまとめた。県厚木土木事務所東部センターが8月1日に公表した。
大和市は慎重な姿勢
大和市の東西を通る県道丸子中山茅ヶ崎線は交通量と比べて幅員が狭く、国道467号線や桜ヶ丘駅付近の踏切が慢性的な交通渋滞を引き起こしている。
横浜市側から踏切手前の東側ではすでに4車線化に向けた用地買収が進み、平成28年度までの完了を目指しているが、踏切を挟んだ西側の拡幅は県道と小田急線の交差方式が懸案となり事業化が遅れている。
技術的な見地
こうしたなか平成21年には学識経験者と鉄道事業者の小田急電鉄(株)、事業を実施する神奈川県、地元の大和市と大和商工会議所の代表者で構成される検討委員会がつくられ、技術的な見地から県道と鉄道の交差方式を検討してきた。
委員会では2年間で計8回の会議を開催。地域住民との意見交換会や市民討議会を開くなどしたうえで「鉄道高架方式が最も相応しい方式」と結論付けた提言書を県に提出した。
提言書では鉄道高架を推奨した理由について「交通機能や事業の実現性、環境への影響、まちづくりへの効果を総合的に考え、かつ地元が期待する交通機能の向上やまちづくりへの期待に応えることを考えた」としている。
提言書を公開
この委員会が推奨した鉄道高架化は、桜ヶ丘駅の南北約1・2Kmを高架化し、その下の県道の幅を現在の8mから27mとするもの。 これにより除去される踏切は3カ所で事業費は約265億円。このうち30億円から44億円を市が負担する試算。ほかにも鉄道の斜路区間の工事費として約85億円が必要とされている。
厚木土木事務所東部センター道路都市課では「提言書の内容と提言に至った経緯を説明する地元報告会を開催する」としたうえで、
「今後、関係機関との協議や市が主体となるまちづくりへの取り組み状況、地域の皆様の意見などを参考に交差方式を決定し、都市計画決定の手続きなどを進めていく」としている。
84ページにわたる提言書は、神奈川県厚木土木事務所東部センターのホームページで公開されている(『桜ヶ丘地区提言書』で検索)。
地元調整は難航か
意見交換会などに参加した地域住民が昨年2月、5642人の署名を添えて小田急線地下化を求める意見書を県に提出するよう大和市と大和市議会に求める陳情を提出した。議会では継続審査となったが「地元の気持ちは痛いほどわかる」「本陳情は理解できる、むしろ賛成」「地域の納得なしに最終的な提言書がつくられることのないように要望したい」とする意見が相次いだ。
こうした声を受けて市は今年2月、交差方式を1つに絞る提言をまとめようとする検討委員会に対し「地域に様々な意見がある中で一つの方向性を決めてしまうことは市域全体に混乱を招く。結果として桜ヶ丘駅周辺の街づくりを遅らせる阻害要因となることを危惧する」との意見を示したが、これを振り切る形で「小田急高架化の推奨」が結論付けられたといえる。
|
|
<PR>
大和版のローカルニュース最新6件
|
|
|
|
|
|
|
<PR>