夏の全国高校野球選手権大会に2年連続で出場した福島・聖光学院の遠藤雅洋遊撃手(3年)がこのほど大和市に帰省し、本紙の取材に応じた。今春から亜細亜大学に進学してプロ野球選手を目指すという。
遠藤選手は、大和市内の軟式野球「大和クラブジュニア」で野球を始め、東海大付属相模中に通いながら硬式クラブチームの「横浜瀬谷ボーイズ」でプレーした。中学時代は3年間のほとんどを控え選手として過ごしたというが、福島県の強豪校で選手の育成にも定評がある聖光学院に進み才能が開花した。
2008年に聖光学院へ進んだ遠藤選手は、1年生の秋から頭角を現しレギュラーに定着。2年生として迎えた2010年夏の福島県大会では110人を超える部員の中にあり、4番一塁手として活躍。4年連続7度目の甲子園出場の原動力となった。
この年の甲子園では2回戦で広島・広陵、3回戦では大阪の履正社を破り、同校初のベスト8に進出。準々決勝では大会屈指の左腕、島袋洋奨投手(現・中大)を擁する沖縄・興南高校と対戦したが惜しくも敗れた。「広陵の野村投手や興南の島袋投手など高いレベルのボールを実感した」と当時を振り返るが、同時に「通用しないわけではない」とも感じたという。
2年生の冬に遊撃手にコンバートされ同時に副主将も任されたが、3月11日の東日本大震災で周囲の状況が一変した。
聖光学院がある福島県伊達市は県北部にあり、沿岸部の南相馬市から約40Km内陸にある街。練習中のグラウンドで震度5強の揺れに遭い、地震から3日間にわたり停電と断水の影響を受けた。寮で過ごす夜は仲間とロウソクを灯し、飲み水を確保するため湧水まで水汲みに歩いたという。
その後、原発事故の影響から10日間ほど外出禁止となり、一旦は大和に帰省。終業式で戻った後も地域でのボランティア活動などに携わり、練習再開は4月下旬になった。
こうして迎えた夏は、エース歳内宏明投手(阪神2011年ドラフト2位)とともに県内公式戦61連勝で甲子園出場を決めた。
前年のべスト8を超える「全国制覇」を目標に臨んだ昨夏の甲子園では、初戦で宮崎・日南学園を破ったものの、2回戦では大会屈指の右腕釜田佳直投手(東北楽天2011年ドラフト2位)を擁する石川の金沢に接戦で敗れた。
甲子園通算で5試合。震災の苦難をも乗り越えた遠藤選手は今春に名門の亜細亜大学に進学。「夢から目標に変わった」というプロ入りを目指すという。
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