▽情報発信が足りない。地元再開発組合が、大和駅東側に地上5階、地下1階の再開発ビルを建てる。そこに複数の公共施設を整備する計画が進んでいる。大木市長の極めて高度な政治判断による公共事業だが、そもそもなぜ、この場所に複数の公共施設が必要なのか。相応の理由があるはずだが、市はそれを積極的に発信していない。
▽大和市は1月31日に、再開発組合と覚書をかわした。このビルの大半を買い取る約束だ。2月1日から15日まで民間会社のホームページで公表された、特定業務代行者の募集資料からようやくわかった事実だ。
▽市はこのビルに約800席の文化ホールと図書館、生涯学習センター、子育て支援施設などをつくるが、施設の全体像はすでに固まっている。整備費は約109億円と試算し、2015年3月までの開館をめざすというが、国と県からの補助金や必要な自己資金、借金の規模など、将来にわたる財政の見通しは明らかにしていない。
▽市が昨年秋までに作った施設基本計画案への意見公募には、94人から341件の意見が寄せられた。担当部は12月の議会答弁で「肯定的な意見が多数。コンセプトや施設構成については理解された」とし、市長も「計画の大幅な修正は不要」と言及した。この答弁からは”とにかく進める”という強い政治姿勢が伝わったが、109億円もの事業を進めるにしてはやや強引な印象をもった。
▽文化ホールの必要性と、市が導いた800席前後の規模は理解できる。さらに生涯学習センターと市立図書館の建て替えも現市政の守備範囲を超えていない。しかし、道路拡幅や空き店舗対策など、地域経済に積年の課題を抱える大和駅周辺に、億単位を投じて新たな子育て支援施設を作ることが最優先だろうか。 ▽この事業にはこのような疑問が散在している。芸文ホール建設として、他の候補地と比較検討されてきたこの事業が、2009年10月を境に第4地区再開発ビルへの複合施設整備に変化したが、それに伴う説明が十分ではなかった。今後、こうした行政運営の変遷を二元代表制の一方を担う議会がどうチェックするのだろうか。
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