担い手の発掘と育成
若手イラストレーターに活躍の場を提供し、大和を「イラストであふれるまち」にしようと、大和市と民間の文化グループが手を組み、ユニークな事業に取り組んでいる。2月6日から10日までイオンモール大和で開催された「YAMATOイラストレーションデザインコンペ入選作品展」を取材した。
今年で2回目となったこのコンペは、大和市と「ドラマティックカンパニーYamato50」(星野俊江代表)による協働事業。開催の背景には2009年に大和市が制定した「大和市文化芸術振興条例」があり、「文化芸術の振興をけん引する担い手の発掘と育成」を目指すために行政が企画提案し、「ドラマティックカンパニーYamato50」が運営パートナーに応募した。同団体は市制50周年を記念して行政が製作した映画に出演した市民役者らが作る文化コーディネートグループ。
コンペは、作品発表の場の提供のほか、市が中心となり入賞作家をさまざまな形で活用し、市民が市内のいたるところで良質な文化にふれることができる機会を増やすねらいもある。そのため、募集にあたっては大和市民への周知にとどめず、公募専門誌などにも情報を掲載するなど全国公募とした。
大和市文化振興課の大紺和由さん(43)は「市民の中からの育成と同時に、大和でアートができるということを全国に知らせる意図もあります。優秀な人材を全国から集め、良質な文化芸術に触れて頂くことも意識している」と話している。
コンペの審査委員長は、大和市在住で雑誌『ぴあ』(1972〜2011)の表紙イラストを36年間にわたり描き続けた及川正通氏に依頼。委員には愛知万博EXPO2005の世界公式ポスターを手掛けたアートディレクターの伊藤桂司氏とブランディングの専門家、江上隆夫氏の2氏を招へいし、コンペに箔が付いた。
こうして実施した2012年の第1回には約350点、今年度の第2回でも400点を超える応募があった。
6日から10日まで開かれた作品展の会場には、入賞作6点のほか一次審査を通過した44点も展示。来場者が好きな作品に投票でき、気に入った作家に応援メッセージが送れるよう配慮した「みんなで選ぶBESTイラスト」部門も設けた。さらに応募作品も会場に展示するなど、アイデアを会場全体に、柔軟に注ぎ込んだ。
第1回に優秀賞を受賞し、3月15日から始まる「さくら文芸祭」のポスターイラストを手がけた盛紫帆子さん(34)=千葉県は「行政主催のコンペは珍しい。作家にとっては素晴らしい機会」と話す。
市文化振興課では「審査委員の先生方は『絵画が印刷され流通するとイラストレーションになる』とおっしゃっている」とし、入賞作家による絵画の流通コーディネートや屋外アートなどにも力を入れ、事業の幅を広げていくことにしている。
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