大和市教育委員会事務局(滝澤正教育長)による学校2学期制の検証が大詰めを迎え、早ければ今年12月末にも大和市教育委員会(石川創一委員長)が学期制について何らかの結論を出す見通しとなっている。
大和市教委が3学期制から2学期制に移行したのは2006年4月。当時の土屋侯保市長の提唱によるものだった。始業式と終業式が減ることで生じるゆとりを活かして学校が教育活動に工夫を重ねることで「自ら成長する力を育む学校教育」の実現を目指してきた。
試験や通知表を受ける機会が減るため、学習意欲や学力低下を懸念する声や、中学では高校入試のために12月にも成績を付けることを疑問視する指摘もある。
検証開始の背景
大和市教委員では、毎年度末に2学期制に関する調査を実施。市議会では2010年9月に一部の議員から「3学期制に戻すこと」を求められた滝澤教育長が「今後も2学期制を継続していく」と述べ、改善による2学期制継続が既定路線となっていた。
しかし2011年3月定例会で大木市長が「なぜ2学期制になったのかその理由がよくわからない。成果と課題を検証する必要がある」との見解を示したことで潮目が変わった。
事務局がアンケート
2012年2月には市教委の事務局(教育部)が独自に「大和市2学期制検証協議会」を設置。学校関係者に事務局幹部を加えた11人でつくる協議会が、3学期制に変えることも視野に入れ、年度内をめどに結論を得る方針で検証を進めている。2012年7月には小中学校全校の教職員980人に、13年3月には市民3千人に学期制に関するアンケート調査を実施した。
教員は「継続」多数
教職員(回収率98%)では、2学期制の継続を望む回答が小学校で91・8%、中学校で82%に及び、市民アンケート(回収率28・4%)では「2学期制のままで良い」が28・7%、「3学期制が良い」は36・8%、「どちらとも言えない」が31・4%と回答が分かれた。
事務局では7月に保護者約1万1千人を対象に実施したアンケート調査の結果を近く公表し、11月10日(日)に市民200人を対象に開くフォーラムで意見を収集する予定だ。
「大人が責任を」
検証作業では議会関係者などから「小学校高学年や中学生であれば自分の考えがある」「児童生徒にも意見を聞くべき」との指摘が相次いだが、滝澤教育長は9月の市議会定例会で「学期制検証は発達段階の児童生徒ではなく大人が責任を持つべき内容だ」との見解を示している。
今後は検証協議会が検証結果をまとめて教育長に報告し、教育長を含む教育委員5人が意思決定する運びだが、アンケート調査と一度のフォーラムで、最善の結論が導き出せるかは未知数だ。指導室では「早ければ12月か1月に委員会でご議論いただく」「決定から1年程度の準備期間が必要」との認識を示している。
小中別の学期制など
県教委によると県内では小学校の69%、中学校61%が2学期制を採用し、藤沢市と葉山町では小学校で3学期制、中学校は2学期制を採用している。全国の小中学校で2学期制を導入しているのは全体の21・9%で、東京大学は今夏、2015年度末までに全学部で新たに4学期制を導入し、秋入学を拡充する方針を固めるなど、大和市教委には国の動向も見極めた判断が求められている。
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