第52回神奈川県美術展の入賞者がこのほど発表され、工芸部門の大賞につきみ野在住の小田伊織さん(31歳)の作品「宵明(よあ)け前」が選ばれた。漆芸作家の小田さんは、漆を用いて斬新な発想に基づいた作品を発表している。
初応募で快挙
神奈川県美術展はこれまで、募集を県内在住・在学・在勤・出身者に限定していたが、今年から全国からの募集に変更。その結果、17都道府県から1284点の応募があった。
2年前に大和に引っ越してきた小田さんは、妻で染色作家の美帆さんの後押しもあり、夫婦で県美術展に初めて応募した。大賞受賞の一報を受けたときは「まさか受賞するとは思っていなかった」ため驚いたという小田さん。「妻は入賞とはならず、悔しさ半分だったと思いますが、受賞を報告すると『おめでとう』と祝福してくれました」と喜ぶ。
ゆったりした世界観
小田さんは東京藝術大学2年時から漆芸を専攻し、漆器以外にもオブジェなどを幅広く制作してきた。空と、空にある景色をテーマに、ゆったりした世界観を表現することが多いといい、受賞作「宵明け前」でも、空が映りこむ建物や、空に浮かぶ飛行船がイメージされている。「漆の持つ素材の強さを存分に引き出せたことや、漆芸では珍しいオブジェだったことが評価されたのではないか」と受賞を振り返る。
普段は横浜英和学院などで講師を務め、制作活動は主に土日に集中して行う。漆芸は制作に長期間を要するため葛藤したこともあったが、漆と向き合うにつれ「ゆったりとした世界観には、ゆっくり時間をかける漆芸は適している」と思うようになったという。
展示は14日から
小田さんの受賞作を含む県美術展(2期)は9月14日から25日まで神奈川県民ホールギャラリー(横浜市中区山下町)で開催。時間は午前10時から午後6時(最終日は午後2時)まで。
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