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取材協力/海老名総合病院 医療レポート 「本当に風邪?」気をつけたい冬のウイルス感染症 感染管理認定看護師 佐藤由美子
気温が低く、空気が乾燥する冬場にかかりやすい「風邪」。しかし一言で風邪といっても風邪の原因となる「ウイルス」は200種以上あるといわれるほど。「風邪だからそのうち治るだろう」と思い込んでいて、重症化することも多いのだとか。そこで今回は、海老名総合病院の感染管理認定看護師である佐藤由美子さんに、今気をつけたい感染症と院内での感染を防ぐための同院の取り組みについて聞いた。
感染力強く、2次感染の危険が
―冬に流行するウイルスにはどんなものが
「インフルエンザ」はすでにご承知のとおりですが、11月から2月ごろにかけては「ノロウイルス胃腸炎」が、5月ごろまでは「ロタウイルス胃腸炎」が主に流行します。どちらも下痢、嘔吐などが主症状です。食中毒のようにウイルスに汚染された水や食品が口から入って感染しますが、風邪のように人から人へも感染します。「ノロウイルス」は乳幼児から高齢者まで広く感染し、比較的軽症な場合が多いですが、乳幼児や高齢者などは脱水や合併症により重症化することもあります。 「ロタウイルス胃腸炎」は生後6カ月から2歳児までの乳幼児に多く見られ、「ノロウイルス」よりも発熱を伴う場合が多く、脱水や合併症により重症化する危険性が高いのが特徴です。どちらも非常に感染力が強いウイルスのため、2次感染に注意が必要です。
―感染してしまったら
残念ながら効ウイルス剤はありません。激しい嘔吐や下痢の症状が出るので、脱水症状に気をつけてください。何度も嘔吐したり、1日10回以上の下痢が2日間続いた場合は速やかに医療機関を受診してください。また2次感染を防ぐために周囲の人が、患者嘔吐物や排泄物を速やかに処理しなければなりません。特にノロウイルスは、乾燥すると空気中に飛散するので速やかな処理が2次感染を防ぎます。その際処理する人は細心の注意が必要です。またドアや手すりなどを触った手から口に入って感染することもありますので、特に調理や食事の前は必ず手洗いを念入りに行ってください。
乳幼児を脅かすRSウイルス感染症
―数あるウイルスの中でも特に気をつけたいものを教えてください
あまり聞き覚えがないかもしれませんが乳幼児をお持ちの方に特に気をつけていただきたいのが「RSウイルス感染症」です。生後6カ月から2歳ごろまでのお子さんに多く見られ、小さいお子さんほど重症化しやすい怖い感染症です。やはり冬場に流行しやすく風邪の症状に似ているため、処置が遅れて重症化する場合も少なくありません。
RSウイルス感染症の恐怖重症化の危険も
―RSウイルス感染症とは
風邪のような軽い場合から肺炎や細気管支炎など重症化することもあります。初めてかかった場合には、25〜40%の乳幼児に細気管支炎や肺炎の兆候が見られ、呼吸困難等のため入院が必要となる場合もあります。ゼーゼーとのどが鳴る音(喘鳴)がする時や、痰が詰まったゼイゼイする咳をするときなどは早めに医療機関を受診しましょう。特に喘息や基礎疾患、心疾患のあるお子さんは、重症化しやすくなるので注意が必要です。乳幼児突然死症候群(SIDS)の原因のひとつともいわれています。感染力が非常に高く、免疫が出来にくいため何度も繰り返し感染します。ただし回数が増えるほど軽くなり、2歳以上になると鼻風邪程度で済むことがほとんどです。しかし「大人だから大丈夫」というわけではありません。生涯を通じて繰り返しかかることから、免疫力が低下した高齢者も注意が必要です。
―感染経路は
他の風邪のウイルス同様に飛沫、接触で感染します。1番の感染源は咳やくしゃみのしぶきですが、私たちが普段の生活の中で、いろいろな場所を手で触り、その手で鼻や目、口を触ることでも感染します。特にちいさいお子さんはおもちゃなど口に持っていきやすく、家庭内や保育園で2次感染してしまう傾向がありますのでおもちゃの管理には注意が必要です。咳やくしゃみをしている本人がマスクをすることも大変効果的です。
そして「手洗い」を徹底してください。簡単なようですが、これが一番の予防策です。
院内感染の予防を
―海老名総合病院が取り組んでいる感染予防についてお聞かせください
当院では3つの委員会を組織し定期的に院内を巡回し、連携した活動を行っています。定期的な院内巡回によるチェック、ターゲットを絞った感染率の調査や細菌検査結果の確認、感染や感染の疑いがある場合には必要な感染対策が実施できているかを確認し、感染率の低下に務めています。
―具体的には
人工呼吸器使用後の肺炎、血管カテーテルの使用など、感染リスクの高い治療に関連した感染率を調査し、感染予防の徹底や改善対策に取り組んでいます。
―インフルエンザの流行期間、面会制限をしていたと聞きました
今年2月から4月初旬までの間、厚木保健福祉事務所の警報レベルの推移を注視しながら、小学生以下のお子さんの面会を制限していました。特に小さいお子さんに関しては、自身の体調について訴えることができないため院内にウイルスを持ち込む可能性が高まります。入院患者さんに感染が広がらないようこのような対処を取らせていただきました。いろいろとご不自由をおかけしましたが、これもすべて院内感染を防ぐためのものです。私たちは常に見えない微生物と共存していかなければなりません。自覚症状がなくても細菌やウイルスを運んでしまうことも多々あります。ぜひ感染予防にご理解、ご協力をお願いします。
手洗いを徹底
感染予防にはやはり手洗いです。そして日ごろから規則正しい生活を送り、体調管理を心がけてください。
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