市民ギャラリーで個展を開く現代書家 波田野(はたの)竹峰(ちくほう)さん 杉久保北在住 86歳
情の熱いサムライ
○…絵なのか文字なのかわからない現代書の書家。県知事賞や産経新聞賞など、数え切れないほど賞を受賞した。書歴60年の実力は、横断幕に始まり、海外からのオファーや墓石の字まで依頼が来るほどに。自らが感じたことや体験、経験をもとに書を通じて伝えていく。「ふと浮かぶ景色や想い。頭の中にあるイメージを最大限に膨らます。墨を作り、技術を持って、毛筆から紙へ描き出す。すべてが揃って、やっと作品になるんですよ」と熱く語る。
○…小学校の授業で書いた習字は、上手な作品だけが並ぶ廊下へ貼り出され、少し時間が経つと次は校内の掲示板に貼られているなど、当時から書の才は抜きん出ていた。戦争を経験した後に出会った書家の先生が人生の師。字の勉強はもちろん、古典や礼儀作法を学んだりと自分と向き合うことの指導を受けた。部屋にある大きな棚からファイルを引っ張り出して「これが先生に添削してもらったもの。添削中は後ろ姿を筆の毛先まで見える角度から、目を見開いて凝視してましたね」と当時の状況を細部まで再現してくれた。
○…背筋をまっすぐにし、ドンと構えて座布団に座る姿が印象的。自らの”命”というのは剣道。”じっちゃん”という愛称で心身ともに鍛え続け、子どもたちに指導する。何度倒されても、起き上がって立ち向かっていく姿は今でも変わらない。「子どもたちには真っ直ぐな人間になってもらいたいですね。はじめに教えた子どもたちは、もう50歳ぐらいになって皆立派になっているんですよ」
○…「”日本人なら大和魂を忘れず、負けてはならない”って祖母の教えが体に染み付いているんですよ」。何事にも熱心でへこたれることを知らない理由だ。そのせいもあってか、今でも同居の息子との喧嘩になる。「取っ組み合いもしょっちゅうだよ。まぁそれでも親子の絆は切ることはできないんだけどな」。その顔はどこか嬉しそうだ。
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