さまざまな研究・学習成果を発表する「第56回全国学芸サイエンスコンクール」の環境分野で、中央農業高校(上治正美校長)の宮澤彩音さん(17)がまとめた論文「『ちゅのとん』が切り拓く地域環境、地球環境の未来」が応募総数5588作品の中から金賞に選ばれた。
同校畜産科学科の生徒らが授業の一環として開発したオリジナルブランド豚「ちゅのとん」。環境保全をテーマに2011年から開発が進められたこの豚を使ったハンバーグセットは昨年末、大手百貨店のお歳暮ギフトとして販売され、大きな注目を集めた。金賞を得た論文はこの育成過程を通じた取り組みをまとめたもの。「畜産業界が抱える課題を克服できる可能性を秘めている」と評価された。
オリジナル豚の開発・育成に養豚部の部員として携わってきた宮澤さんらは、臭気問題や水質汚濁など畜産業界が抱える課題に直面。さらに食品が大量に廃棄され、大量のCO2排出につながっている食品流通業界の実情を知った。
これらの問題を畜産業界が抱える課題として捉え、百貨店の食品売り場や食品加工業者が排出する廃棄物を活用した「リキッド発酵飼料」をオリジナル豚の餌に採用。その結果、廃棄物量が軽減され、処理に要するエネルギー削減につながったことに加え、臭気問題にも成果を得たという。
今回、金賞を得た論文では「ちゅのとん」の育成過程を通じた研究成果を「養豚業が抱える地域に対する臭気問題やCO2問題を解決し、さらに産・学・地域を巻き込んだリサイクルループを生むという環境問題に対する糸口」と論説。都市型畜産の在り方に対して、一考を投げかけた。
宮澤さんは「自分たちの取り組みが評価されてとてもうれしい。TPP問題など畜産業者にとっての問題はまだまだ多いですが、公害問題やコストなどの育成課題に向けて、エコフィードなど新しい可能性があることが伝えられれば」と話していた。
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