亡き妻の遺した作品展 相模みのり幼稚園内であす、あさって
ガンを患った主婦・中村長代さん(享年50)が「自身の生きた証」を残すかのように創作活動を続けた作品を展示する企画展があす、あさっての2日間、相模みのり幼稚園内(海老名市本郷3286)で催される。観覧時間は2日が午後1時から3時まで、3日は午前10時から午後3時まで。
「彼女の生きた証」―― 夫・敏裕さん
18年前の春、笑い声の絶えない幸せな家庭に残酷な知らせが届いた。妻の左胸に乳ガンが見つかった。
中村敏裕さん・長代さん夫妻。同僚だった2人がひかれ合い家庭を持った。子どもも授かった家族は、近所でも話題の「明るい家庭」だった。そんな家庭に突然訪れた酷すぎる現実だったが、手術を受け長代さんの体調は回復。「ガンだったことを忘れる」ほどの生活を送っていた。しかし術後、10年が経過したころ、左手に違和感を覚える。鎖骨下と肺にガンの転移が見つかった。
快活な長代さんは長年、テニスを趣味としていたが、診断を受け「新たな生きがい」を探し始め、絵手紙の世界に出会った。
綾瀬市の絵手紙作家・橘川芳恵さんや海老名市国分南の吉田美知雄さんに師事し、その基礎を学んだ後、本格的に創作活動を開始。再発から5年ほどは体調は安定していたため、創作活動に没頭し、全国規模の大会でも多数の入賞を果たすまで腕を上げた。
しかし、病魔は長代さんの体を徐々に蝕んできた。4年ほど前から他界する寸前まで自分に言い聞かせるように度々、こうつぶやいた。「治るから」――。
一昨年の夏、敏裕さんは勤務先を早期退職し、妻を全面サポートする環境を整えた。11月26日の結婚記念日に先立ち、19日にホスピス内で28度目となる結婚記念日を祝った。好物の寿司をかみ締めるように味わった妻は翌日、旅立った。
昨年2月、ある作品展に応募していた絵手紙が亡き主の元に返信されてきた。封を開け、その中から出てきた作品を目にした瞬間、夫の目から涙がとめどなく溢れ出した。
そこには農作業に勤しむ夫の姿が描かれ、こう記されていた。「うまい!!お父さんの努力と自然の力に感謝です 素人農園だよなんて言いながら毎日まいにち手をかけてるおかげだね。採りたて新鮮野菜をありがとう ごちそうさま」
仲間の支え
妻を失い「空虚感」に包まれ、失意のどん底にいた敏裕さんを支えたのが仲間だった。
息子が通った、みのり幼稚園の父親が中心となり活動する「おやじの会」のメンバーや妻の友人の多くから「奥さんの作品をもっと多くの人に見てもらおうよ」と、背中を押され作品展の開催を決意。昨夏の作品展には2日間で300人を超える人が会場を訪れた。
「彼女の生きた証なんです。作品を通じて同じような境遇にある人に勇気や元気を与えられたら」。昨年の作品展では「絵手紙」が中心に紹介されたが、今回は、「書」を中心に100作品ほどを展示する。問合せは相模みのり幼稚園【電話】046(238)0572まで。
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