25年かけて千観音を達成した 大塚(おおつか)正治郎(しょうじろう)さん 中新田在住 64歳
やると決めたら最後まで
○…西国三十三所、坂東三十三所、秩父三十四所の観音霊場を巡る「百観音」。その巡礼を25年の歳月をかけ「千観音」の偉業を達成した。きっかけは自身が開業する施術院の患者に対して、治療のほかに何か手助けできないかと考えたうえでの決断だった。「信仰心が特別強かったわけでもない。テレビで巡礼の映像を見て、患者さんの健康のために巡礼しようと思い立ったんです」と謙遜する。
○…施術院を営みながら、ゴールデンウィークなど長期の休みを利用して巡礼を開始。初めに訪れたのは秩父三十四所。そして坂東、西国と巡礼を重ねていった。途中で千観音を目標に設定。一度決めたことはやらないと気が済まない性格で、ひとつ目標を達成すると「もっと先へ」と常に前進する。しかし25年間の巡礼は決して平坦な道のりではなかった。天候に恵まれず引き返さなければならないことなど例を挙げればきりがない。「車だけでも10数台乗り換えました。相当の距離を走りますからね」。ただ一切ぶれずに巡礼を続けたのは「人のため」という一途な思いだけ。「おかげで観音様の不思議な力を頂きました」
○…厚木の精肉店に生まれ、子どものころから家業を手伝っていた。「焼豚が結構有名でね」と顔をほころばせる。中学の頃から空手道場に通い、学校では野球部で汗を流していた。しかし空手で肩を痛め野球の夢を断念。その後は空手の修行に励むも20歳の時に腰を痛め、通った施術院でのちの運命が変わった。「この道に進もう」。サラリーマン生活を経て新たな夢を成し遂げた。現在は地域の子どもたちに空手を指導。「日々の成長が楽しみです」と親心をのぞかせる。
○…「千観音はひと区切り。これでいつ何があっても満足だけれど『人生は常に修行』。これからも続きます」。机の上に置かれた巡礼の証である「納経帖」は朱印で埋め尽くされ真っ赤に染まっていた。
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