「ハーモニー銀色の道」の代表を務める 山崎(やまざき)文和(ふみかず)さん 中央在住 77歳
いつまでも勉強家
○…経営する保険会社の事務所の机や棚は数十本のハーモニカや教本、機材でいっぱいに。棚に積まれていることもあってか、少し部屋は暗い。「こんなのは見たことあるかな」と上品なケースを開けると、重さが2kgもあるものや民謡専門のハーモニカが出てくる。それを口に当て、目を閉じ1曲。1本のハーモニカから主旋律と伴奏の同時演奏。澄んだ音色で部屋を明るくさせた。
○…ハーモニカを手にしたのは60歳のとき。海老名市民音楽祭で見学したハーモニカ演奏に感銘を受け、すぐさま演者の講師に講座を依頼。「ふらっと寄った演奏会で、こんなにも素敵な音色が聞けるものだとは思わなかったですね」と当時を思い出す。楽譜が読めたわけでもなく、知識があるわけでもなかった。音色に魅入られ受けた講座はすべてが1からのスタート。毎日3時間以上の練習を重ね、時には唇が切れて腫れ上がるほどハーモニカを口に当てた。「楽しすぎて時間を忘れてしまったよ。事務所の中で練習してたから、仕事も忘れそうになったけどね」と冗談を飛ばす。
○…高校卒業後、養蚕農家へ就職するも産業の低下を危惧し、23歳で大学へ入学。農業経営学を専攻し、年下には負けまいと勉強の日々に明け暮れた。その後は建設業や保険業を営みながら地域の活動にも参加。次第に人との輪が広がっていった。「断ることができない性格でね。いろんな役員は大変だったけど仲間ができたことが一番の財産だね」
○…高齢者施設や福祉施設などで10年以上訪問演奏を続けている。中でも懐メロや演歌は会場全員が口ずさむほど大人気。「自分と同じ世代の人とつながっていられることは本当に幸せですね」と満面の笑みがこぼれる。未だ達成できていない目標は”自信の演奏を録音する”こと。「『まだまだできる。まだまだ』と言って録音できないんです。いつかしたいね」。今日も事務所から音色がこぼれる。
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