10周年を迎えた「玉扇流」の家元 玉扇美枝藤(ぎょくせんみえふじ)さん(本名玉置美枝子) 国分北在住 65歳
芯の強さが美しさ
○…玄関の扉が開くと着物姿で迎え入れてくれた。部屋には大きな鏡と数百本のカセットテープ、記念の写真や賞状が額縁に入れられ綺麗に並んでいる。「華やかに・美しく魅せる」をモットーに新日本舞踊「玉扇流」を立ち上げた家元。「無我夢中になってきた10年でしたね。舞踊祭ではこれまでの成果を見ていただければ」と表情をゆるめる。
○…踊りの楽しさを知ったのは「この時ね」と飾ってある色褪せた写真を指差す。4つ上の姉をみて日本舞踊を習い始めた。大会で失敗をしても「上手に踊れてたわよ」と褒め上手な優しい先生のもとで教わり、周りの人からも「踊りのために生まれてきた子ね」と言われるほど踊りに夢中だった。しかし名門校に進むと同時に踊りの生活から離れていった。時が経ち、子育てから手が離れたころ、「人に何かを教えたい」と郷土史や鎌倉文学をはじめ、卓球や料理教室など、さまざまな講座に参加した。そうしながら6年経ったある日、神社の祭りで新日本舞踊と出会い「『これだっ』って感じたんですよ」と踊り生活に火がついた。
○…教師をしていた父は「今思い出しても恐い印象しかありません」と苦い顔をするほど厳しく育てられた。普段は文句しか言わない父が大学進学で頭を抱えて悩んでいる娘を見て背中を押してくれた。「父からアドバイスをもらったのは人生でその一回だけ。それでも陰から見守ってくれていることが忘れられません」と涙を浮かべた。
○…「この10年は”踊り一筋”でやってきました」。舞踊祭には他流の家元が駆けつけてくれるほど、多くの出会いがあった。年間十数回立つ舞台。気付けば今は当時観客側で見ていた神社の祭りでも踊るようになっていた。現在は市文化団体連盟の副会長を務め、文化伝承にも力を注ぐ。「何かをしていないと人生楽しくないはず。文化に触れ合う場を作って”生きがい”を届けていきたいです」
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