海老名市美術協会の会長を務める 小宮山(こみやま)士郎(しろう)さん 国分南在住 75歳
「和の精神」を心に
○…「皆さんのすすめで会長になってしまいました」。今年設立40周年にして、10代目の海老名市美術協会の新会長に就任。現在市民ギャラリーで開催中の協会展に続き、9月には40周年記念として会員全員の作品を集めた画集の制作や、復興支援のチャリティ協会展の開催を計画している。「代々の会長は皆プロ。それに比べ僕はセミプロなんですけどね」
○…絵との出合いは子どもの頃まで遡る。「何となく自然に」と自身振り返るように、山梨県出身で山に囲まれて育ったことがのちの人間形成の核になり、初対面でも器の大きさや懐の深さを感じさせる。「この絵はね、駒ケ岳、こっちが桃源郷」と壁に掛けられた大きな作品を前に「やっぱり山が好きだね」。今でも故郷の山梨にはたびたび足が向く。現在の住いも50年ほど前、大山や箱根を見渡せるほどの絶景だったことが決め手となった。
○…協会に身を投じたのは20年ほど前。現役時代は地下鉄の企画から開通までを手掛ける電気関係の「技術屋」として汗を流し、官庁や警視庁、東京電力などの兵揃いの担当者を相手に抜群の調整力を発揮してきた。そして定年を目前に、セカンドライフの楽しみを模索していたある日、協会展に足を運んだのがきっかけ。1枚の絵に惹かれ、「この作者に教わりたい」と入会した。入会後ほどなくして出品した作品が県の展覧会に入賞。「やはりこれだ」と自信を得て現在まで続けている。「うちの会は特に講師はいない。強いて言うなら皆が講師。自由な会ですね」。仲間同士で切磋琢磨する中で腕を磨く。
○…「聖徳太子が唱えた『和の精神』が昔から好きでね」。壁に掛けられた三千院から贈られた色紙には書で「和」の一文字が。「ただ、何でもかんでも和じゃない。大いに議論し見極めることが大事なんです」。個性あふれる60人の芸術家を時間をかけて「美術」というキャンバスに描いていく。
|
|
|
|
|
|
<PR>
|
|
|
|
|
|
|
<PR>