市内社家にある「三島社」(鶴指憲総代)が護持してきた、5体の仏像を安置する「宝物殿」が、この程完成した。祭祀など重要事項を決定する地元住民などで構成される「氏子(うじこ)」の間で、2001年に建設決議されて以来、長年にわたり議論が重ねられてきた念願ともいえるお堂が落慶した事で、今後は所有している仏像を、御開帳など催しの時以外にも拝観可能となった。
三島社では、明治以来、「不動明王立像」2体を含む、計5体の仏像を保存・管理。戦争や震災、疫病の流行などといった様々な困難から海老名の地を護るシンボル的な存在として信仰を集め、毎年7月28日に行われる「不動尊祭礼」の際などには開帳。地元の人達に広く供養されてきた。
参拝ブームも後押し
市が制作した「郷土かるた」でも読まれるなど、地域に浸透しているこの仏像。だが、これまでは社務所を兼ねた建物の一角にひっそりと保管され、開帳などの際を除けば、人目に触れる機会は皆無に等しい状態が続いていた。
さらに近年、折からのブームにあわせ「パワースポット」などと称される、こうした神社仏閣を訪れる観光目当ての参拝者が増加。「不動明王はどこにあるの?」といった声も日々、大きくなっていたという。
10年越しの議論、結実
不動尊像などを適切に保存・管理すると同時に、多くの人に常時開示することが可能となる「宝物殿」(お堂)の建設については、約100軒のメンバーで構成される同社「氏子」の間で早くから検討されており、2001年には建設決議を可決。だが、氏子の負担となる費用などがネックとなり、10年以上にわたって話し合いが続けられてきた。
建設推進に向け議論が重ねられる中、2013年秋に、ようやく宝物殿の詳細な概要が決定。翌年1月からは建設委員会のメンバーが中心となり、氏子に賛同を要請。約1200万円の建設費用等にも目途が付き工事に着手。1年近くの歳月を費やして完成に漕ぎ着けた。
来賓招き記念法要も
氏子の協力で実現した「念願のお堂」に、関係者は皆、一様に安堵した様子。
近隣にある明窓寺の住職を招き3月29日に執り行われた記念法要(落慶式)には、内野優市長や地元選出議員など多くの来賓や関係者が出席。仏像の魂が然るべき場所に安置された事が報告されると共に、地元の新しい観光スポットとしても注目される史跡の門出を祝っていた。建設委員会の委員長として尽力した大島亮作さんは「扉窓越しとはいえ、5体の仏像がいつでも拝観可能になった事は、何よりの喜び。春の祭礼や御開帳などの催しについても今後より一層、拡充していければ」と話していた。
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